米国の電気自動車メーカー テスラは、今年中国で厳しい状況に直面しています。複数のドライバーが、今年初めに起きた故障や衝突事故について、テスラを非難しています。
中共の官製メディアがこのニュースをセンセーショナルに取り上げたため、テスラの売り上げは大きく減少しました。しかし、事の真相はそう単純ではないようです。
ある動画の中で、中国の自動車トーク番組の主催者であり司会も務める人物は、テスラに対する世論操作が行われているとして、中共メディアを批判しました。
王黎氏は30年以上に亘りジャーナリストとして活躍しています。同氏は中国の江蘇省交通放送ネットワークで、自動車に特化した2つのトーク番組の司会を務めてきました。
動画の中で王黎氏は、視聴者から「テスラに関する報道は本当なのか」という質問を幾つも受けたと述べています。質問の中にはメディアが注目したあの大事件も含まれています。
4月の上海モーターショーで「ブレーキ故障」と書かれたTシャツを着た女性が大騒ぎを起こしました。女性はテスラの展示車両の上にのぼり「テスラのブレーキが効かない」などと大声で叫んだのです。
テスラ社はこの女性の抗議に対し、バックグラウンドデータの記録によると、事故の原因は過度のスピード超過によるもので、ブレーキ性能に異常は見当たらなかったと回答しました。しかしこのモーターショーの事件から、中共の官製メディアは、テスラの批判記事を連日掲載し始め、否定的な報道が、中国中に溢れ返りました。
しかし王黎氏は報道に不可解な点があると指摘します。つまり、通常の交通事故の報告書であれば事故の原因が必ず記載されるはずであり、それは警察によって決定されるものだと王黎氏は指摘します。
しかし、テスラの事故報告書にはそのような詳細が一切記載されておらず、それどころか、記者は事故をテスラのブレーキ故障によって引き起こされたものとして断定的に報道していると同氏はいいます。
中国 江蘇省交通放送網自動車トーク番組の司会者 王黎氏
「これは情報操作だ。私たちが目にしている結果は全て、誰かが私たちに見せたいと思っている結果なのだ」
王黎氏によると、中国では毎年約20万件の交通事故が発生し、約5万件の死亡事故が報告されているといいます。中国には500社以上の自動車メーカーがあります。
王黎氏は、これほど多くの自動車メーカーがあり、これほど多くの事故が報告されている中で、何故メディアはテスラだけに焦点を当て、他の事故については全くと言っていい程言及しないのかと、疑問を投げかけています。