「TikTokは中国に厳重に管理されている」内部関係者

TikTokの内部関係者は米メディアCNBCに対して、人気のソーシャルメディア・アプリTikTokは中国の親会社に厳重に管理されており、中には米国のユーザーデータへのアクセス権も含まれていると語りました。

サイバーセキュリティ専門家は、このことは、膨大な量のデータを収集し諜報活動を行っている中共政権の餌食になる可能性があると指摘しています。

TikTokのリクルーターと4人の元社員はCNBCのインタビューで、TikTokの親会社である中国の大手ハイテク企業バイトダンス(ByteDance)が米国人のユーザーデータにアクセスし、TikTokの製品開発や意思決定に深く関わっていると懸念を語りました。また、両社の間にはほとんど境界線がないとも指摘しています。

米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)の上級副所長で戦略技術プログラムのディレクターでもあるジェームズ・ルイス氏は、この報道は驚きではないと言います。

ルイス氏は、中国では法の支配も人権も尊重されていないと指摘します。

米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長のジェームズ・ルイス氏
「TikTokは大人気のアプリであるため、膨大な量のユーザーデータを所有しており、そのデータが諜報活動や監視目的で中国(共)政府と共有される懸念がある」

TikTokはロサンゼルスに拠点を置く人気のソーシャルアプリで、2017年にバイトダンスによって全世界で立ち上げられました。

現在、米国の月間ユーザー数は1億人に上り、その大半は10代から20代前半の若者です。

TikTokの元社員がCNBCに語ったところによると、米国人従業員が、特定の種類のコンテンツを検索、又は 操作した米国人を含む世界のユーザーリストを取得する必要がある場合、中国のデータ管理チームにアクセスを申請しなければならないといいます。

つまり中国チームは、TikTokが所有するユーザーに関する全ての情報を、ユーザーの特定IDと共に引き出すことができるということです。証言によると、それはTikTokでは当たり前のことだといいます。

米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長のジェームズ・ルイス氏
「5~6年前、中国(共)はこの新たな諜報戦略を開発し、ビッグデータの収集とデータ分析を活用し始めた」

ルイス氏は「中共政権はここ数年、米国人等の外国人の膨大なデータの獲得に努めており、TikTokはその目的に適う、理想的なプラットフォームである」といいます。

米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長のジェームズ・ルイス氏
「TikTokは有効性の高いデータを入手している。顔認識テクノロジーを考えてみれば分かるだろう?TikTokは数百万の顔データを中国(共)に提供し、中国(共)はそれを収集、分析している。これはほんの一例にすぎない。諜報活動の情報源としての、中国(共)のデータ分析の成長こそが、懸念の根底にあるのだ」

ジェームズ・ルイス氏が提起するもう一つの懸念は、中共政権がTikTokをプロパガンダのプラットフォームとして利用できることだといいます。例えば、中共ウイルスが米国の軍事研究所に由来すると主張する中共のキャンペーンがあります。

トランプ前政権は米国内でTikTokを禁止しようとしましたが、TikTokが禁止措置の一時差し止めを要求し、裁判所がこれを認めたため実施されませんでした。
6月初め、バイデン大統領はトランプ前大統領の行政命令を取り消しました。

今後は、米政府が外国の敵に接続されたアプリのリスクを評価することになり、そのための基準を設定するよう商務省に命じました。

ルイス氏によると、これによって法的枠組みが出来上がり、裁判所もTikTok禁止を拒否できなくなるかもしれないといいます。

〈字幕版〉

 
関連記事