英国のリシ・スナック財務相は、自国の価値観を維持しながら、中国との貿易関係を追求したいと述べました。しかし、ある専門家は、反発が起きる二つの事柄を両立させることについて、疑問を呈しています。
リシ・スナック財務相は、中国は世界で最も重要な経済大国の一つであるが、英国とは根本的に異なる価値観を持つ国家でもあると主張しています。
7月1日、ロンドン市長の公邸で毎年行われる英国の経済状態について演説するマンションハウス・スピーチで、スナック氏は英国は中共政府と成熟した、バランスのとれた関係を築く必要があるとの認識を示しました。
スナック氏は、英国は「中共が国際的な影響力を強めていることにしっかりと目を向け」、「我々の価値観に反すると判断した問題に対しては、原則的な立場を示し続ける必要がある」と述べました。
英保守系シンクタンク「ヘンリー・ジャクソン協会」の中国政治専門家であるグレイ・サージェント氏は、英国政府が「二兎を追う」戦略を推進していることに対して、驚いていないと述べています。サージェント氏は、多くの人々がこのような外交スタイルに懐疑的であると言います。
ヘンリー・ジャクソン協会特別研究員 グレイ・サージェント氏
「私たちは皆、中国が提供する経済的な利益を享受したいと思っています。しかし、国家安全保障や、新疆や香港での出来事に対抗することに対して、正しい選択をすることに深い懸念があります」
またサージェント氏は、中国との関わりや取引によって、中国が民主的になったわけでも、国際社会の中で責任ある国家になったわけでもないことは明らかだと述べています。
ヘンリー・ジャクソン協会特別研究員 グレイ・サージェント氏
「むしろ、中共政府は自身の利益のためにルールを変えようとしていることがわかりました。例えば、私たちが考える人権や規範、基準との関係においても、中共政府に合わせてルールを変えようとしています」
サージェント氏はまた、民主主義諸国は協力してサプライチェーンを多様化し、医薬品や個人防護具(PPE)のような重要物資に関して、中国に依存しないようにすべきだと強調しています。