強制立ち退きでまたも悲劇 政府職員が刺殺される【禁聞】

湖北省武漢市武昌区のある村民は、自宅が不可解な強制取り壊しに遭ったうえその調査も進まないなか、今度は関連の地方政府職員から殴打されたことで怒りが爆発し、職員を刺殺しました。2人が死亡、1人が重傷を負っています。

7月12日、武漢市武昌区で住宅の強制取り壊しと立ち退きを担当する地方政府職員が、四美塘の旧市街改造現場を視察中に、自宅が強制的に取り壊された村民との間で諍い(いさかい)を起こしました。その結果村民から刃物を向けられ、2人が死亡、1人が重傷を負いました。容疑者の舒立法はその後逮捕され、殺人の疑いで刑事拘留されています。

亡くなった地方政府職員は、武昌区旧市街改造計画の担当者、熊志平氏と、取り壊し・立ち退き上級機関の浜江商務区主任の孫羿(そん・げい)氏の秘書であり、孫羿氏は重傷を負ったこともこれまでに明らかになっています。

舒立法容疑者の息子は、彼らの自宅が1月30日早朝に秘密裏に取り壊されたと話しています。この件で舒立法容疑者は怒りを抑えきれず、ずっと廃墟の中に住んでいて、精神的にも辛そうだったとも話しました。

事件当日、孫羿主任が同行者3人とともに舒立法容疑者の元自宅のある廃墟の辺りを視察中、舒立法容疑者は普段の癖でその様子をスマートフォンで撮影しました。

舒立法容疑者の息子
「すると彼らは撮影させないようにした。父と彼らの間で言い争いが起こった。彼らは父からスマートフォンを取り上げようとしたが父は渡さなかった。立ち退きの担当者はそのときに父を殴った。父は66歳で、彼らは40代だ。4人全員が殴った。その後父は自宅に戻って刃物を持ち出し、一人を刺殺した。一人が死亡し、一人が重傷を負った」

舒立法容疑者の息子は、父親を一番ひどく殴った郭晶がその場から逃げたので父親は彼を探したが、郭晶が見つからなかった代わりに以前に彼の母親を脅した熊志平を見つけたので熊志平も刺したのだと話しています。

舒立法容疑者は武漢市武昌区徐家棚武北村の村民で、自宅の取り壊しに遭ったために妻と共に徐家棚派出所に被害届を出していました。徐家棚派出所は4月23日に正式に立件しましたが、今も事件は解決していません。

舒立法容疑者の息子
「取り壊しが終わってから私たちはこの件について彼らと話をしたところ、彼らは(取り壊しの)理由を話した。一つは工事のためだったが、もう一つの理由である、間違えて取り壊した件については、彼らは話しをそらした。その場合の賠償金について彼らは、私たちの自宅の不動産権利書と合致しないという理由を設けて話をそらした」

容疑者の息子は、2か月後に派出所は取り壊しの担当職員に対し、彼らの不動産権利書には何の問題もないため、派出所はこの件を財産が損害を被った刑事事件として立件すると通達したが、取り壊し担当者は、彼らの自宅の図面に問題があると反論したのだと語っています。

舒立法容疑者の息子
「私たちの不動産権利書が発行される前に訴訟をしたことがあるため、公証書などの書類はすべてそろっている。一連の手続きはすべて法律に従って行われ、それから私の祖父の名義が私の父の名義になった。すべてが正式な手順にのっとって行われた。彼らはどうしても私たちの家に問題があったと言い張っていて、取り壊したのはそれが理由だと言っている。それで私の父はずっと腹を立てていた」

容疑者の息子はさらに、今回殺された担当者の熊志平という女性は以前に、彼の母親に対し家を没収するなどと脅しており、母親は怒りで高血圧症を発症し入院したとも話しています。さらに事件当日、彼の父親を一番ひどく殴ったのは取り壊し担当者の郭晶だったことから、父親は担当者への怒りが爆発して殺人に及んでしまったとも話しています。

中国大陸では、強制取り壊し・立ち退きを原因とする事件が後を絶ちません。立ち退きを強いられた人たちが恨みを募らせているためです。

7月17日、インターネットに、海南省で行われた別荘の強制取り壊しで、ショベルカーが家屋を壊していると、巨大なコンクリートの塊が担当者2人の方に崩れ落ちて1人が死亡し、もう1人がけがをしました。このとき、現場を取り囲んでいた民衆は拍手喝采しました。

大連市の元警察官劉暁斌(りゅう・ぎょうひん)さんは、この二つの事件はどちらも強制取り壊しが原因で起きた事件であり、一つの社会問題を示していると述べています。

元大連公安の劉暁斌さん
「(中国)国内では、中共の下で働くこうした政府職員を暴力団や匪賊のように考えている民衆が増え続けていると思う。この手の政府と民衆の対立は日増しに深刻化している。中共統治下のこれらの職員を哀れに思う」

劉暁斌さんは「中共は人の命が大切だとはまったく考えておらず、彼らの身内の利権が保障されるかどうかしか気にしていない。末端勘具の利益には身の安全の確保が含まれているが、彼らはそんなことは気にも留めないため、彼らを道具のように使って用済みになったら見殺しにする。今になってもなおも中共に命を売り渡そうとする政府職員は、自分の将来をよく考えてみるべきだ」と語っています。

 
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