河南省鄭州市の京広路トンネルは今回の水害で完全に水没し、「自動車の墓場」と言えるほどたくさんの車と多くの人命を呑み込みました。当局はこれについて発表していませんが、民間からは責任を追及する声が後を絶ちません。ある人は「各交差点に少なくとも監視カメラ20台が設置されているのだから、当時の録画を調べればすぐ分かる。政府は真相が分からないのではなく、事実を公表したくないのだ」と主張しています。
洪水が引いた後の7月22日、鄭州市では道路が徐々に顔を出していますが、京広路トンネルはまだ大量の混濁した水に沈んでおり、トンネルの入り口では水没した一部の車両が姿を現しました。
河南省鄭州市 現地住民
「今はまだ水を抜き切っていない。トンネル内の車はすべて閉じ込められている。どの車にも運転手がいて人が乗っているのだ。多くが家族単位で乗っている。なぜこんなことに。外の光景は悲惨で見るに堪えない。なんということだ」
京広路トンネルは京広高速道路の一部で、京広北路トンネルや京広南路トンネルなどのトンネルを含み、全長約4キロ、高さ6メートル、両側6車線です。中国メディア「澎湃(ほうはい)新聞」は、7月20日夜、京広路トンネルは5分間で冠水し、約1000台の車が水没したと報じました。
ネットユーザーが公開した動画には、水がトンネル最頂部の「京広南路トンネル」と「京広北路トンネル」の標識まで達して極めて危険な状況の中、幸運だった一部の人がトンネル頂部の通気口から脱出した様子が撮影されていました。
当時、当局の救援・避難指揮部はまだ到着しておらず、トンネル出口付近の人々が互いに助け合い、ある男性が車を捨てて逃げるよう運転手に大声で呼びかけていました。
現地住民
「まだ車に乗っている人はすぐに車から出てこい!まだいるか?まだいるのか?早く下りろ!私が中の人に出ろと呼びかけてから10分後に(水が)いっぱいになった。車はおしまいだ。車はおしまいだ。人が無事ならそれでいい」
しかし、幸運に恵まれた人ばかりではありませんでした。
現地住民
「水に浮いていた車はすでに撤去された。だが聞くところによると、中にはまだ数百台の車が救助されないままになっている」
鄭州市民の馬さん
「脱出できた人がいることに間違いはない。だがよく覚えておきなさい。このトンネルは3〜4キロある。あなたがその中間にいたとしたら、前にも後にも進むことはできないのだ。大通りの水は人を押し流すことができた。人を直接押し流すのだ。トンネル内が坂になっていて水が急に流れ込んできたら、普通の人はおろか、私たちのような屈強な人間であっても大変なのだ。そんなことは考えたくもないし想像したくもない」
当局は21日の午後になってようやく水抜きを始め、北トンネルと南の入り口から二人の遺体を引き上げました。
現地住民
「見たか?トンネルの中から引き上げられた人を」
市民が投稿した動画を見ると、白い箱に入れられて運ばれた犠牲者もいれば、引き上げられた犠牲者も、まだ水に沈んだままの犠牲者もいることが分かります。
現地住民
「ここにはまだ人がいる。ここに頭がある。出ようにも出られなかった。出たくても出られなかった。ここでそのまま死んでしまった」
22日に当局は現場を封鎖し、住民が近づけないように規制線を張りました。
現地住民
「今、龍海路の交差点から中原路トンネルまで、警察がすでに封鎖していて近づけない。数十メートル以内は立ち入り禁止だ。間違いなく…何か起きたのだろう。みんな内心ではわかっている。間違いなく人に知られたくないことがあるのだと」
鄭州市民の馬さん
「私が友人と通り過ぎたばかりのころ、たくさんの警察やパトカー、救急車がそこにいた。今はもう警戒線を引いて非常線を張っている。あたりにいた人はすべて追い払われた。彼らが私たちを行かせることはないはずだ。河南テレビのチャンネルで生放送している。テレビ局が生放送しているが、彼らも内部の現場の悲惨なシーンは映さない」
鄭州市民の王強さん
「なんてことだ。我々の死亡者数は永遠に35人を超えることはない。この死亡者数について、政府側による制限があるだろう。一定の人数を越えたら、一定レベルの政府職員が責任を追及され免職になるのだろう」
鄭州市民の馬さんは、京広路トンネルのほかに自分の家の近くの別のトンネルも水没しており、何台の車両が被害に遭ったのかまだ分からないと話しています。
ある市民はツイッターに「交差点ごとに少なくとも監視カメラが20台設置されているのに、全長5キロのトンネルが水没した時、中にいた車や人がどれくらいだったのかなぜわからないのか」「当時の動画を確認すれば、はっきりと分かるはずだ。…政府は真相が分からないのではなく、ニラのように搾取されている人民に伝えたくないのだ」と投稿しています。