中国の裁判所は８月10日、麻薬密輸罪に問われたカナダ人男性の死刑判決を維持しました。一方、カナダではファーウェイの副会長兼最高財務責任者（CFO）孟晩舟被告の米国への身柄引き渡しの最終審理が行われており、それを阻止するために、弁護団が必死に動いています。この二つの事件は関連性があるのでしょうか。
遼寧省の高級人民法院（高裁）は10日、麻薬密輸罪に問われていたカナダ人男性の死刑判決を維持しました。
ロバート・シェレンバーグ被告は2014年に逮捕され、2018年11月の一審では懲役15年の実刑判決が言い渡されました。
シェレンバーグ被告は控訴しましたが、大連市の中級人民法院（地裁）は2019年１月にシェレンバーグ被告に死刑を宣告しました。
死刑判決が下された時期から、カナダでの別の事件との関連性を指摘する声があります。シェレンバーグ被告が中国で死刑判決を受ける１か月前、ファーウェイの孟晩舟被告が米国からの要請でカナダ当局によりバンクーバーで身柄を拘束されました。
孟被告は、ファーウェイのイランでの金融取引について金融機関HSBCに虚偽の報告を行い、米国の対イラン経済制裁に違反した可能性があるとして起訴されています。
今週、孟被告の弁護団は孟氏の米国への引き渡しを阻止するための最終審理に臨んでいます。
カナダのドミニク・バートン駐中大使は、この２つの事件が同時期に起こったのは偶然ではないと述べています。
また、バートン大使は孟被告が拘束された数日後に、中国で拘束されたもう一人のカナダ人企業家のマイケル・スパバ被告についても言及しました。
スパバ被告は、昨年６月に外国のために国家機密を探り、海外に提供したとして起訴され、11日に遼寧省丹東市の中級人民法院より懲役11年、５万元（約８５万円）没収の判決が言い渡されました。
中共は、カナダ人の事件と孟氏の事件の関連性を否定しています。しかし中共は、孟氏が釈放されない場合、不特定多数の人に何らかの影響が出ると警告しています。
カナダのマーク・ガルノー外務大臣は声明を発表し、、中国の裁判所がシェレンバーグ氏に対する死刑判決を維持したことを強く非難しています。
