湖北省では連日の大雨とダムからの放水によって随州市(ずいしゅう-し)柳林鎮が冠水し、家屋や工場が流されました。当局は21人が死亡し4人が行方不明と発表しましたが、現地住民は犠牲者はもっと多いはずだと話しています。放水による洪水が起きる前、現地政府が住民に警報を発しなかったため、被害が拡大しました。
湖北省のメディアは、8月12日午前2時40分ごろに随州市で降雨量が増加し、その後1時間も経たずに柳林鎮で洪水による冠水が発生して家屋や工場が流されたと報じました。鎮内の冠水部の水深は平均で3.5メートルに達し、最も深い場所で5メートルを記録しました。現地政府は今回の大雨で柳林鎮では約8000人が被災し、21人が死亡、4人が行方不明と発表しました。
一方で柳林鎮の住民は新唐人テレビに対し、気象部門はその日の天気を小雨と予報していたため、洪水が発生するとは思ってもみなかったと話しています。
湖北省随州市柳林鎮で商店を営む朱さん
「水があっという間に押し寄せた。家から逃げていなかった人は逃げられる高所もなかったので、見る間に水があふれた。鎮の幹部が警報を発し、通りから何度か呼びかけたのだが聞こえなかった人もいただろう。あのときは雨がひどくて声が届かなかった」
朱さんは、警報は洪水が鎮に来る30分前に出され、その時は深夜だったため住民に聞こえなかったのだと話しています。
朱さん
「政府には責任がある。彼らは数百人、数十人を組織して各戸に派遣し、ドアを叩いて洪水が来ると知らせるべきだった。たったこの程度の広さの街、2キロメートルほどの大して大きくない街だ。一軒ずつドアを叩いたり、サイレンを鳴らしたりするだけでよかった。2~3人が道路で叫んでも聞こえない人がいるはずだから」
柳林鎮の周さんは、「12日の深夜に鎮の一階部分が浸水し、平屋の家の人はそのまま溺死してしまった。ある家では一家4~5人が死んでしまい、水に流された人もいた」と話しています。
洪山鎮で缶詰工場を経営する張さんは、洪山鎮も深刻な被害を受け、洪水が深さ2メートルに達したと話しています。
洪山鎮の缶詰工場経営者の張さん
「川の両岸沿いにあった缶詰工場はすべて浸水し、深刻な損失を被った。ある経営者の被害額は100万元(約1700万円)を超えた。彼らの工場は低い地形のところに位置し、水位よりも低かった。機械類は重いので移動が間に合わなかった。豪雨だったうえ、洪山鎮の琵琶湖から放水が行われたために(洪水が)起きたのだ」
張さんは、洪山鎮中心小学校の浸水被害が最もひどく、水深が数メートルにも達してフェンスも流されたと話しています。水は引いたものの住民は今も泥の撤去作業を行っています。