アフガニスタンで市民へ発砲3人死亡 

中共がタリバンに接近?

イスラム法の範囲内での女性の権利の尊重などを約束したタリバンは8月18日、市民を射殺しました。一方、中共はタリバン政権を認めることに前向きであると述べています。中共が一貫してタリバン側との協力体制の構築にこだわる理由は何なのでしょうか。

タリバンが政権を握ってから、女性の権利の尊重や民間人に報復しないことを承諾しましたが、その直後にアフガニスタン東部で抗議デモ参加者を射殺しました。

ジャララバードで8月18日、参加者数百人の抗議デモが行われた際に、タリバンに陥落される前のアフガニスタン共和国国旗が掲げられたことでタリバン側が発砲し、3人が死亡、十数人が負傷しました。

ジャララバードで撮影された別の動画には、一部のデモ参加者がアフガニスタン国旗を掲げると現地で銃声が響く様子が収録されており、デモ参加者がタリバン武装勢力から攻撃されたと報じられました。

タリバンが過去に政権を握った際には女性の通学や仕事が禁止されていました。タリバンは現在、女性の権利の尊重を打ち出しましたがアフガニスタン人はあまり信じていません。

アフガニスタンの学生
「彼女らは皆家にいる。2日前から私はカブールの通りで女性を一人も見ていない。彼女らはタリバンを恐れている」

タリバンは8月17日、米軍に対しもう一つの重要な合意を打ち出しました。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)(2021.08.17)
「タリバンはすでに我々に対し、彼らが市民に空港までの『安全なルート』を提供する準備ができたと通達した」

しかしその翌日、首都カブールの空港付近で銃声が鳴りました。FOXニュースが入手した映像には、空港付近に集まっていた市民がタリバンから銃撃を受ける様子が撮影されています。

タリバンは今、自分たちがもはや20年前のタリバンと同じではないことを国際社会に認めさせたいと考えていますが、それにはまだ時間がかかることは明らかです。

英国のボリス・ジョンソン首相
「我々は(タリバンが)口にした言葉ではなく、打ち出した選択と行動に基づいてこの政権を判断する」

中共外交部は8月18日、「将来的には条件を鑑みて、タリバン政権の合法性を考慮する可能性があり、またタリバンが『東トルキスタンイスラム運動』を打倒してくれることを望んでいる」と述べています。

タリバンが政権を奪取した後、中共の官製メディアはタリバンを「美化する」60秒のショートビデオを放送しました。この中でタリバンは正常な組織として描かれており、その過激性については一切触れられていません。この動画はネットユーザーから風刺され、ウェイボーに数時間掲載されていましたが、のちに削除されました。

時事評論家 唐靖遠氏
「中共はイメージを損なうこともいとわずに、タリバンを大いに持ち上げている。その背後にはっきりと見えているのは中共の深い憂慮だ」

時事評論家 ジェイソン博士
「彼らの教義に基づいて考えた場合、中共に対しタリバンは深い恨みを抱いているはずだ。なぜなら、彼らの百万人もの同胞が強制収容所に収容されているからだ。タリバンが本当に強大な組織になって、新疆にいる反体制派に武器を提供し、身を隠す場所を与え始めたら、中共はどうするのか?中共の戦闘力では、アフガニスタンに手を出す勇気はないだろう。中共の唯一の手段は、彼らを救済することだ」

専門家は、中共とタリバンは現時点では共通の利益が生まれるのだろうが、双方の協力体制は長続きしない運命にあると指摘しています。

時事評論家 ジェイソン博士
「少なくとも初期段階のタリバンなら中共は利用できるだろう。アフガニスタンでは現在、レアアースや金鉱、錫鉱などがたくさん発見されている。中共もあれらの鉱物に興味を持っている。そしてタリバンも、中共が愚かで金を持っていることが分かっている。タリバンは以前から借金を恐れてはいない。我々はならず者だから誰のことも怖がらない。金を借りても、金があれば返すが、金がなければ『ない』と言えばいい。だからタリバンは中共にとどまって自分たちのために建設してほしいと要請するだろう。彼らがひとたび金を手にしたら、その後も中共と関わる可能性がある」

タリバン内部には新疆ウイグル族のメンバーが多数いると指摘する人もいます。タリバンが再び政権を奪取した後、新疆でのウイグル人迫害に対するタリバンの態度がどのように変化するのか、引き続き注視する必要があります。

 
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