マレーシアの歌手が中共政権の全体主義的な支配を、タリバンに比較して揶揄したことを受け、中国共産党(中共)は彼に対して報復をしています。
8月20日、中国のソーシャルメディアに投稿された「タリバンへの8つのアドバイス」と題した投稿が中国で話題となっています。
これを投稿したマレーシアの歌手、黄明志(ネームウィー/Namewee)は、中共政権の全体主義的な支配を嘲笑し、タリバンのそれと比較しているようです。
中共当局はすぐに気が付き、Nameweeの微博(ウェイボー)アカウントを停止しました。
投稿メッセージでは皮肉を込めてタリバンがアフガニスタンで権力を維持するためにすべきことを提案しています。しかし、その手順は中共が支配体制を維持するためのの戦術とピッタリ符合しているのです。
投稿メッセージはタリバンにまずFacebook、YouTube、Google等の外国のウェブサイトをブロックすべきだと提案し、続いてタリバン直営のニュースサイトとソーシャルメディアアプリを立ち上げることを勧めています。
そうすれば、市民は外部からの情報や影響を受けることなく、タリバンが制作したニュースのみにアクセスできるようになるのです。
投稿メッセージは皮肉にも、強制収容所や闇刑務所を設置することも提案しています。
インターネット検閲のファイアーウォールに始まり、良心の囚人に対する迫害、中国北西部新疆ウイグル自治区における少数民族の弾圧に至るまで、これらの提案は中共政権が長年にわたって実施してきた多くの戦略をなぞるものです。
投稿メッセージは更に続きます。次に、タリバンは指導者の巨大な像を作って大統領府の入り口に設置すべきだと言います。
街路にはスローガンを掲示し、学校では生徒に洗脳教育を施します。
1960年代の文化大革命では、当局のプロパガンダのためのスローガンが際限なく作られました。同時に、当時の共産党指導者毛沢東の像を設置して彼を偶像化する動きも中国全土で見られました。
更に投稿では、ネット上の政権批判に対し、市民に攻撃させるようタリバンに助言しています。これは、中国のいわゆる「五毛党」に酷似していると言えるでしょう。
「五毛党」とは、政府の支援を受けたネットユーザーグループで、ネット上で中共政権とその政策を称賛し、体制に疑問を持ったり批判したりする者を片っ端から攻撃することで報酬を得ています。
タリバンは他に、これ以上何をすべきなのか?
投稿では、タリバンは外国人を買収してアフガニスタンの愛国主義的な歌を歌ってもらったり、愛国主義的な映画を制作してもらうべきだといいます。
中国では近年、二つの映画『戦狼2』と『オペレーション・レッドシー(紅海行動)』が圧倒的な興行成績を収め、ソーシャルメディアで大きな注目を集めています。