欧米諸国とタリバンとの関係が緊迫化しつつある中、中共政府は例外にあります。中共とタリバンは友好的な関係を約束していますが、双方にとって好都合な上での友好関係だとされています。
現在、各国政府は自国民のアフガニスタンからの退避に対応を追われていますが、中共政府はこのような問題を抱えていません。
中共外交部の華春瑩報道官は、アフガニスタンに滞在していた中国人は、タリバンによる政権掌握をめぐる同国の混乱状態が極まる前にすでに帰国していると表明しています。
中国メディアによると、7月初旬に民間チャーター機1機で首都カブールに滞在していた自国民210人が帰国しました。
他の中国の航空機が同様の目的で使用されたかどうかは不明です。
自国民を退避させたものの、中共とタリバン双方は友好関係を望んでいます。特に、タリバンがカブールを制圧して以降、両者は接近を続けています。
中共は、タリバンによる政権掌握を「アフガン国民の選択」と表現しています。また、タリバンはアフガニスタンの再建のため、中共の助力に期待を寄せています。
23日、中共外交部の汪文斌報道官は定例記者会見で、北京政府がアフガニスタンで積極的な役割を担うことを約束しました
また24日の記者会見では、国際社会はタリバンに対して制裁するのではなく、アフガニスタンの円滑な権力移行を促進すべきだと主張しました。
アフガニスタン情勢に対する中共の見解は、米国にも向けられています。
中共は、混乱の中でアフガニスタンを見捨てた米国を批判し続けています。
しかし、中共がアフガニスタンの情勢に関心を寄せる理由は、他にあると考えられています。
中国北西部の新疆ウイグル自治区は、アフガニスタンとおよそ8キロの国境を接しており、中共はアフガニスタンの治安情勢が不安定化することにより、国境を越えようとする人々が現れるのを恐れていると考えられています。
また、中共は長年タリバンとウイグル人武装勢力とのつながりを警戒していました。
先月、タリバンは占領領土内のいかなる勢力にも、中共政府に対抗する行為を許さないと表明しました。しかし、タリバンがアフガニスタンをどの程度までコントロールすることができるかは未知数です。
政治アナリストによると、中共とタリバンの関係は、メディアが描く友好的な関係に比べて、より現実的なものになると指摘しています。
インドに拠点を置くユサナス財団の先任研究員、フランク・レーバーガー氏は、現在のタリバンの最大の焦点は資金調達だと指摘しています。中共が資金を提供する限り、タリバンは中共に対して「親切」に接するだろうと指摘しています。
資金調達は、タリバンの最も差し迫った課題の一つです。理由として、米連邦準備制度理事会(FRB)が保有する米国債などのアフガニスタンの数十億ドルに及ぶ海外保有資産を米政府が凍結したことにより、外貨準備へのアクセスが遮断されたためです。また、国際通貨基金(IMF)も4億6千万ドルの資金支援を保留しています。