韓国では、無資格のスタッフが外科医の代わりに執刀した事による医療事故が相次いだことから、病院の手術室に監視カメラの設置を義務付けることになりました。
韓国では8月31日に議会で法案が可決され、先進国としては初めて、手術の様子を記録するための閉回路カメラ(CCTV)の設置を義務付けることになりました。
手術室に監視カメラの設置を求める動きは2016年の医療事故をきっかけに強まりました。
私立クリニックの外科医が看護助手や無資格の医師に手術を行わせ、致命的な結果を招いたことで告発されたのです。
整形外科医のキム・ソンウン氏は監視カメラはいいことだと考えています。
整形外科医のキム・ソンウン氏
「私は医師として、韓国は手術室にCCTVが必要な時期に来ていると思います。手術室にCCTVがあれば代役手術、不正な臓器摘出、性的暴行などの犯罪、そして不条理な状況でのかなりの医療事故を防ぐことができると思う」
大学3年生のクォン・デヒさんは、2016年10月にソウルで下顎の手術を受けた後、49日間の昏睡状態に陥り、出血のために死亡しました。
彼の母親イ・ナグム氏は息子の手術を撮影したCCTVの映像を入手することができました。
しかし彼女は、気持ちの整理がつかずに苦しんでいる親たちが何百人もいると述べています。
クォン・デヒ氏の母親 イ・ナグムさん
「健康だった人が手術室で亡くなっても、物的証拠がないために、真実を明らかにすることができない不幸な遺族があまりにも多い。CCTVの映像によって、遺族に真実が明かされ、もう二度と不当な死がなくなることを願う」
法案に対し、医師や病院、医療団体からは反対の声があがりました。
14万人の会員を擁する韓国医師会はビデオ監視の導入は、医学生の意欲を失わせると主張しています。
韓国医師会の広報担当 パク・スヒョン氏
「手術室にCCTVが設置された場合、一部の研修生は外科や外科系学部を志望しない意向を示している。韓国の医療の中核部分が崩壊することになるだろう」
韓国医師会は、法案は医師に対する信頼を損ない、患者のプライバシーを侵害し、医師が命を救うためにリスクを負うことを躊躇させるものだと主張しています。