市民が中絶業者を訴えることを可能にする新しい法律について、米国テキサス州の関係者から様々な反応が出ています。
一方、サウスダコタ州のクリスティ・ノエム知事は同州の中絶法の見直しを命じ、法律の厳格化を検討しています。
テキサス州の法律では、妊娠6週間以降の女性の中絶を禁止しています。バイデン大統領や民主党幹部は、この動きに対抗しようとしていますが、テキサス州の中絶反対団体はこの動きを応援しています。
テキサス州中絶反対団体「テキサス命の権利」立法関連シニア・アソシエイトのレベッカ・パーマ氏
「『テキサス命の権利』では皆胸を躍らせ、プロライフ運動にとってのこの歴史的な日を祝っています。これは米国で施行される初めての「ハートビート法」であり、私たちは本当に感激しています。この法律によって救うことができる何千もの胎児の命を思うと感極まります」
この法律は、市民がこの法律に違反するテキサス州の中絶業者を訴えることを可能にしました。裁判で勝てば誰でも1万ドル(約110万円)を獲得することができます。
しかし中絶クリニックのシニア・ディレクターはこれを懸賞金と呼んでいます。
「ホール・ウーマンズ・ヘルス」クリニックのシニア・ディレクター マーヴァ・サドラー氏
「テキサス州は私たちの首に1万ドルの賞金を懸けました。テキサス州では一般市民、特に外野にいながら私やスタッフや関係者を名指しで嫌がらせをする人たちに権限が与えられてしまいました。胎児の心拍数が聞こえ始めた時点を過ぎた妊婦に、私たちが中絶の支援や教唆を行ったと彼らが思えば、彼らは今や州に成り代わって私たちに対する訴訟を起こすことができるのです」
テキサス州のこの法律が9月1日に施行された後、連邦最高裁判所は5対4の僅差で差し止め請求を退けました。
この法律によってカンザス州の中絶クリニックへ押し寄せる患者が増えると予想されています。テキサス州の住民だけではなく、中絶のためにテキサス州へ行く予定だった他の州の住民もカンザス州へ赴くと思われます。
さらに、サウスダコタ州のクリスティ・ノエム知事も最も厳格なプロライフの法律を州法で明確化しようと考えています。現在のところ、サウスダコタ州では妊娠12週間目までの中絶が認められています。
一方、9月2日のホワイトハウス記者会見において、ジェン・サキ報道官は中絶に関するバイデン政権の立場について、記者から厳しい質問を浴びました。
記者
「カトリックの信仰では中絶は道徳的に間違っていると教えているのに、なぜバイデン大統領は中絶を支持するのですか?」
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官
「彼は、中絶は女性の権利であると考えています。それは女性の身体であり、女性の選択です」
記者
「では、大統領は誰が胎児のことを案じるべきだと考えているのですか?」
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官
「バイデン大統領は、そういった決断をするのは女性であり、医師と一緒に決定を下すのも女性であると考えています。あなたはそんな選択に直面したことがないでしょうし、妊娠したこともないでしょう。しかし、そういった選択に直面したことのある世の中の女性にとって、これは恐ろしく難しいことなのです」
プロライフ(中絶反対)の女性たちは、サキ報道官の言葉を批判し、男性記者に対する性差別主義発言だと主張しています。
非営利中絶反対団体「米国の命のための学生連合」代表のクリスタン・ホーキンス氏はFOXニュースに対してこう語っています。
「他ならぬジョー・バイデン氏自身がカトリック信者であることを自己宣伝に利用している。妊娠したことのある女性として、またカトリック信者であることを自負する者として私は、どうして胎児の命の価値についての教会の教えの根幹を否定するようなことができるのか、バイデン大統領に説明してもらいたい」
現代のフェミニズムと連携している中絶権利擁護派の中には、中絶こそ自己決定の自由の要だと言う人もいます。
一方、プロライフ派の人々は、女性が自身の健康を管理する権利を有することには同意していますが、その権利は母親に子供の身体を破壊することを認めるものではなく、子供にも最初から生きる権利があると言っています。