バルト海の小国リトアニアは中共に対抗して、台湾との友好関係を強化し、EU諸国から支持されています。評論家は、リトアニアは全欧州の対中政策の模範になる可能性があると指摘しています。
リトアニア外務省は9月3日に駐中国リトアニア大使を本国に呼び戻しました。大使は8月上旬にリトアニアから中国に戻った際に中共当局からできるだけ早く出国するよう求められました。
ミッケビシエネ氏が出国する日、EUの各国駐中大使が見送って、彼女への支持を表明しました。
駐中欧州連合代表部の副代表はさらにこの日、ツイッターにEU各国の駐中大使とミッケビシエネ氏が撮影した集合写真を投稿し、中国からの圧力に直面しているEU諸国の団結力を示しました。
同時に、欧州議会の超党派議員62人も連名でリトアニアに声援を送り、中共の脅迫外交に反対しました。
欧州議員は、台湾は国際社会で重要な役割を果たしており、EU加盟国は台湾との外交関係を樹立する権利があると強調しました。
今年に入ってリトアニアは、中共と中・東欧諸国の「17+1」から離脱し、議会は中共によるウイグル人への迫害をジェノサイドと認定し、首都に「台湾」を含む代表処の設置を許可することを可決しました。政治や経済の分野で中共からの強烈な圧力をかけられながらも、リトアニアは自身の明確な立場を崩していません。
台湾国立金門大学国際・大陸事務学部副教授の盧政鋒(ろ・せいほう)氏は、リトアニアは元々反共だったうえ、過去の経験もあって、中共からの圧力に屈しないのだと述べています。
台湾国立金門大学国際・大陸事務学部副教授の盧政鋒氏
「数年前から中国は、中東欧諸国で、さらにはバルト海沿岸に位置するEU諸国の中でも比較的立ち遅れている国で、現地の力を使ってその国の学界やメディア、政治家に影響を与えている。特に、選挙の時は、海外にいる華僑を使って、特定の候補を支援している」
盧政鋒氏は、リトアニアは民主社会への中共の浸透を全人類に対する大きな挑戦だと認識していると指摘しています。
リトアニア議会親台グループ代表のマタス・マルデイキス(Matas Maldeikis)氏は台湾メディアの「中央社」に対し、今欧米がリトアニアに対して表明している支持は「過去30年で稀に見る」規模だと述べています。
同氏は、EUと米国はすでに、少なくとも安全保障や政治的衝突といった分野で中国の強硬姿勢に立ち向かうリトアニアの抵抗は、欧米諸国の国益にかなっていると認識しているため、リトアニアを支援する用意があるのだとも述べています。
マルデイキス氏はさらに、リトアニアにとって、自由で民主的な台湾を支持し、一党独裁政権に対抗することは、国が生き延びるための根本的な利益を守るための道であり、台湾を助けることは自国を助けるのと同じだと指摘しています。それは、民主政権が一つ瓦解してしまったら、ドミノ効果が引き起こされる可能性があるからです。また自由で民主的な環境が欠如している環境の中では、小国のリトアニアが強権に翻弄され、侵略される可能性もあります。
盧政鋒氏
「米国政府がトランプ時代から、台湾に対するこうした国際空間を与え、台湾を米国の理念に近い国の陣営に組み込み始めたことがますますはっきりしてきた。リトアニア自身も米国のこうした(リトアニアを)支持する力を感じている。この種の包括的な戦略情勢とこの種の国際情勢を明確に感じている」
9月1日、欧州議会外務委員会は中国からの干渉を無視して、圧倒的投票数で「EU-台湾政治関係と協力」報告を採択し、台湾との政治的・経済的関係を全面的に強化するとしました。また「欧州経済貿易弁事処」を「EU駐台湾弁事処」に名称変更することも提起されました。
評論家は、今回の決定は中共の外交「レッドライン」を突破しており、より多くのEU加盟国がリトアニアをモデルとして、台湾関係を強化する可能性があると考えています。
盧政鋒氏は、中共は以前は彼らの経済市場を使って、中国とのビジネスを望んでいる欧州諸国に対し、民主、法制、人権、価値観といった分野で服従を求めていましたが、EUは今考えを改め始めています。
盧政鋒氏
「中共は香港や新疆を鎮圧し、欧州議会の議員、そして欧州の一部シンクタンクの研究者らを対象に制裁を行った。中共はまた米国のトランプ政権の一部の意思決定層にいる高官が辞任する際に、彼らにも制裁を加えた。だから、EUの議員も共産中国に対し制裁を下すだろう」
盧政鋒氏は、「中共がここ数年で南シナ海や新疆、香港で行ってきたことがEUの覚醒を促した。彼らは中共の圧迫にさらされて、すでに退路がないのだ」と指摘しています。