米共和党の下院議員は民主党に3.5兆ドル(約383兆円)の予算決議案の修正に応じるよう求めています。共和党議員はレアアースを中国に頼る現状に終止符を打ちたいと考えています。一方、民主党の予算案は、法人税率と所得税の限界税率を引き上げようとするものです。
中国のレアアースの新たな調達先は、アフガニスタンのタリバンです。共和党のデービッド・マッキンリー下院議員は、米国がこの鉱産資源を中国やタリバンに依存している現状の打開は超党派の課題であるとし、次のように述べています。
「中国は以前、2019年に米国へのレアアースの供給を停止すると脅した。議会は二度と当時のように米国を脆弱な国にはさせてはならない」
米国防総省は、2010年時点でアフガニスタンにおけるレアアース鉱石の埋蔵量を1兆ドル(約109兆円)相当と算定していましたが、現在では3兆ドル(約328兆円)規模と推定されています。米国防総省は、アフガニスタンを「リチウムのサウジアラビア」と呼んでいます。
リチウムは、バッテリーや電気自動車のグリッドストレージ(蓄電)、太陽光発電の風力タービン等の製造に欠かせない原料です。
下院エネルギーおよび商業委員会の民主党議員は、バイデン大統領の大規模な支出計画の枠内における天然ガス税の経済的影響を制限又は排除する修正案を共和党議員が提出するのを阻止しました。
バイデン大統領の「ビルドバック・ベター(より良く米国を再建する)法案」の支出計画は薬価設定、電気自動車の充電スタンド、いわゆる「気候正義」という気候変動対策助成金、9.11緊急電話サービスの拡大、消費者のプライバシー保護から医療保険制度改革、融資保証、既存プログラムの拡大に至るまであらゆるものを網羅しています。
さらに予算案には、800万人近くの不法移民に恩赦を与えることも盛り込まれています。共和党の下院議員は、これによって南部国境に更に多くの人々が押し寄せることになると述べています。
しかし、下院司法委員会のジェリー・ナドラー委員長は、この移民条項は経済成長と地域社会の強化に役立つと述べています。同氏はこれが可能なのは、この予算案が永住権への道を開き、グリーンカードの手続きを改善し、地域における暴力の一掃に向けてリソースを追加投入するからだと述べています。
3.5兆ドル(約383兆円)の予算案の財源として、民主党は現行の法人税の均一税率を限界税率に変更しようとしています。最も富裕な企業に対する最高税率は26.5%になる見込みです。また、個人の所得、キャピタルゲイン、信託収益、不動産所得に対する最高税率も大幅な引き上げが見込まれています。
フロリダ州のステファニー・マーフィ民主党下院議員は多くの施策は支持するものの、全てを実行するのは無理だろうと述べています。
この法案は、企業や富裕層への増税を目的としています。トランプ政権下では、共和党がこれらの税率を大幅に引き下げていました。