太平洋地域では、中共の攻撃に備えていくつかの動きが見られます。台湾では、防衛費を約80億ドル(約8千800億円)まで増やす計画があり、また米豪間で原子力潜水艦に関する協定が結ばれました。この問題と、物議をかもしたミリー将軍の中国への電話をめぐる報道をご覧ください。
米国、英国、豪州の3国間協定は、太平洋地域におけるパワーシフトの変化を印づけるものです。
米国は、豪州に原子力潜水艦製造技術を提供する動きは北京に対抗するものではないとしています。しかし、豪政府の国防関係者はBBCに対し、これは3国がインド太平洋地域における中共の攻撃に対して防衛ラインを引くことを意味すると述べています。
ワシントン・タイムズ紙の国家安全保障担当記者ビル・ガーツ氏も同様の見解を示しています。
ワシントン・タイムズ紙国家安全保障担当記者 ビル・ガーツ氏
「これは、中国(共)がもたらす戦略的脅威に対抗して、米英豪3国が新たな同盟を結んでいることを、中国(共)に対して極めて明確に示しているのです。特に中国海軍は、私たちが目にしている通り、あらゆる種類の最新式ミサイルを備えた超近代的なハイテク軍艦を急速に増やしています」
中国といえば、ミリー将軍は、米国が中国に攻撃をしかける場合にはそれをこっそり知らせてあげると中共中央軍事委員会連合参謀部参謀長に約束したようです。
ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏の近々出版される本『危機(Peril)』について複数の報道機関が書いた予告記事によると、ミリー氏がこの行為に及んだのはトランプ前大統領が「暴走」するかもしれないと考えたからだといいます。ミリー氏は中共への電話について抗弁を行い、トランプ政権の関係者も電話のことを知っていたと述べました。しかしガーツ氏はそれは偽りだと言います。
ワシントン・タイムズ紙国家安全保障担当記者 ビル・ガーツ氏
「トランプ政権の高官に話を聞いたが、彼らはそんなことは知らなかったと言っています。トランプ政権の主要戦略の一部が北京に圧力をかけることですが、ミリー氏の行動がこの作戦を台無しにしたことは、明らかです」
ガーツ氏は、中国人民解放軍を宥めるためにミリー氏が電話をかけたことを正当化しうるとすれば、考えられるケースは一つしかないといいます。それは、米国が攻撃してくると中共が誤解していたという情報が存在していた場合です。
しかしガーツ氏は、トランプ政権の高官が本当にその情報を入手していなかったとすれば、それは一種の過失ということになるはずだと言います。
ワシントン・タイムズ紙国家安全保障担当記者 ビル・ガーツ氏
「それは、情報機関の犯罪的過失とすら言えます。だからこそ、このスキャンダルの真相を徹底的に解明しなければなりません。私は、これは新たなスキャンダルであると考えています。何故なら、ウッドワーク氏の著書に書かれていることを踏まえて見る限り、これは軍の文民統制の簒奪(さんだつ)です。ミリー氏が言っているのは要するに、軍を統括しているのは彼だということ、そして彼は最高司令官と指揮系統を無視するつもりだということです」
また台湾では、中共によるいわゆる「深刻な脅威」に対して、国防費をおよそ80億ドル(約8千800億円)まで引き上げる予定です。
ガーツ氏は、台湾が製造を計画しているミサイルは、中共に対する抑止力になると述べています。