中国共産党が推進する広域経済圏構想「一帯一路」の参加国の対中債務が増大しており、反発が高まっています。これは、米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所(AidData)が9月29日に発表した調査結果によるものです。
一帯一路構想は、2013年に中共の習近平総書記が提唱しました。
中共は、途上国に莫大な融資を行っています。野心的なこの取り組みを、「トラブルを引き起こす国際交易路」「債務トラップ外交」などと呼ぶ人もいます。
エイドデータ研究所の調査によると、一帯一路構想は参加国で大きな反発を招いていることが明らかになりました。
調査員の一人であるブラッド・パークス氏は、「途上国の中には、高額予算、汚職、債務の持続可能性への懸念から、一帯一路構想への参加を棚上げする動きも増えている」と指摘しています。
エイドデータ研究所は、中共が過去18年間に165か国で資金を拠出した総額8,500億ドルに相当する1万3千以上のプロジェクトについて検証しました。
パークス氏によると、中共が1年間に約束する国際開発金融は、米国の2倍に達していると言います。
調査結果によると、一帯一路プロジェクトの3分の1以上が汚職や労働法違反、環境汚染などといった問題が生じていることが判明しました。
また、一帯一路構想は多くの国に信用リスクをもたらしており、融資を受けた中低所得国42か国の中国への負債は、国内総生産(GDP)の10%を超えています。
今年6月、英国で開催された先進7か国首脳会議(G7サミット)において各国首脳は「ビルド・バック・ベター・ワールド(B3W)」を導入することで合意しました。
これは、発展途上国のインフラ整備を資金面で支援するための枠組みです。
同枠組みは、中共の一帯一路構想に対抗することが狙いではないかと考えられています。