最近、フランス国防省傘下の軍事学校戦略研究所(IRSEM)が発表した中国共産党に関する報告書によると、各国で孔子学院に対する反発が強まっています。孔子学院を教育プログラムと称して、中国共産党のスパイ活動を行っている疑いがあります。フランスのある孔子学院が公的な資金援助を受けていることを巡り、議論が巻き起こっています。
9月23日、ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏議会では、フランスのアンジェに位置する孔子学院に4万ユーロ(500万円)の補助金を交付することが決定しました。
孔子学院は、中国語と中国文化の非営利教育機関として紹介されています。孔子学院は、中共の共産主義イデオロギーとアジェンダを推進する教育部管轄組織「国家漢語国際推広領導小組弁公室(漢弁)」によって運営されています。
議会での決定に対し、フランス国会議員ギヨーム・ガロ氏らは非難しています。ガロ氏は、孔子学院は中共のスパイ機関であると断じています。
ガロ氏は軍事学校戦略研究所の報告書を引用し、中共は孔子学院のネットワークを利用して他国に潜入していると指摘しています。
報告書では、孔子学院は中共が影響力を拡大することを可能にするとともに、地元の政治家とのネットワークを構築する手段としても機能していると指摘しています。
孔子学院は主に各地の大学内に設置されています。
報告書にはまた「中国共産党は孔子学院を利用して大学との関係強化を図っている。中共の関連組織から大学に資金提供をすることで、学内での中共の影響力を強め、中国に関する報道をコントロールし、ひいてはスパイ活動を可能にしている」と記されています。
地元の人権団体の責任者は、アンジェの孔子学院は資金を受け取るべきではなかったと述べています。
仏「市民イニシアチブ協会」 ブリジット・ジロー氏
「すべての孔子学院が資金援助を受けているわけではないが、フランスにある孔子学院のほとんどは地元の政治家から約3万5千〜4万ユーロの資金援助を受けている。フランスには、閉鎖を余儀なくされている協会や慈善団体、青少年のためのプログラムが多数存在するにもかかわらず、孔子学院には4万ユーロもの資金が援助されている。これは恥ずべきことだ」
ジロー氏によると、フランスにある孔子学院の資金調達の内訳は、公的助成金が5割、「漢弁」による出資が5割程度であるといいます。
また、フランス国内の計17の孔子学院には、合計で年間約60万ユーロ(約7700万円)の公的助成金が投入されているとされています。
しかし、軍事学校戦略研究所の報告書によると、現在、孔子学院がスパイ養成・プロパガンダ機関とされる疑惑が高まるにつれ、国際社会の間で反発も大きくなっています。
仏「市民イニシアチブ協会」 ブリジット・ジロー氏
「ベルギー・ブリュッセルに位置する孔子学院の宋新寧(そうしんねい)院長は、2年前に海外の人材を情報提供者として雇うリクルーターの容疑で逮捕された」
ジロー氏は数年前から、孔子学院への資金提供を支持する地元の政治家に書簡を送っていたなかで、中共に好意的な印象を抱いている政治家もいたと述べています。
仏「市民イニシアチブ協会」 ブリジット・ジロー氏
「私は、数名の方から返事をもらえませんでした」
しかし、フランス国内のいくつかの市や議会では、孔子学院への資金援助を停止及び取りやめの措置を取っていることから、希望はまだあるとジロー氏は述べています。