国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事が辞任を免れました。IMF理事会は同氏に対する疑惑を調査した後、この決定を下しました。ゲオルギエバ氏は中国に譲歩して世界銀行報告書のデータを歪曲したとして非難されていました。
24人の理事からなるIMF理事会が10月11日に調査の結論を出し、クリスタリナ・ゲオルギエバ氏はIMFの専務理事に留まることになりました。
同理事会は、ゲオルギエバ氏が中国に譲歩してデータを改ざんしたとする疑惑を調査していました。
IMF専務理事 クリスタリナ・ゲオルギエバ氏
「私にとってはとても嬉しいことだ。ようやくIMFの専務理事として晴れて中に入ることができる」
ゲオルギエバ氏は世界銀行の年次報告書『ビジネス環境の現状(Doing Business 2018)』で中国のランキングを引き上げるよう職員に圧力をかけたとして非難されました。
世界銀行は昨年の報告書で、中国のランキングは78位ではなく、85位と、7ランク下げるべきだったと述べています。
世界銀行から調査を委託されたウィルマーヘイル法律事務所の報告は、世界銀行における中国の影響に着目しています。
ウィルマーヘイル法律事務所の弁護士とゲオルギエバ氏の1週間にわたる面談を経て、IMFは結論を出しました。ゲオルギエバ氏が世界銀行の最高経営責任者を務めていたときに報告書の不正を指示したというような職権乱用の証拠はないとしています。
声明では更に、次のように述べています。
「理事会は、IMFの最高水準のガバナンスと完全性を維持する上で専務理事の尽力に信頼を置いている」
ゲオルギエバ氏はブルガリア出身のエコノミストで、1993年世界銀行に入りました。2017年に最高経営責任者(CEO)に就任し、2019年まで世界銀行に在職していました。同氏は2019年後半に新興国出身者としては初めてIMFのトップに就任しました。