台湾の対中政策を担う大陸委員会主任は最近、中国共産党の防空戦略に重大な欠陥があると指摘しました。大陸委員会の邱太三(きゅう・たいさん)主任委員は10月14日のビジネスカンファレンスで、米空軍が極秘で中国の周辺空域を通過したと発表しました。
邱氏によると、米軍の戦闘機2機が、中国の沿岸部の飛行場をミサイルの射程範囲内に収めるほど近くを飛行していたが、中共軍側は全く探知することができなかったといいます。
米戦闘機を探知できなかった理由として、台湾の南西部の空域への中共軍機派遣に傾注していたためだと考えられています。
10月1日から4日までの4日間、中国の建国記念日に当たる「国慶節」シーズンの最中、過去最高の延べ149機の中共軍機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入しました。
中共軍機派遣の狙いは、インド洋北東部のベンガル湾で10月12日から15日までの日程で行われる、日米豪印4か国の枠組み「クアッド(QUAD)」による「マラバール」合同海上演習に対抗するためだとの見解を示しました。
今年7月には日本、米国、英国、豪州などの海軍が、中国を念頭に置いた台湾南東部の海域で合同訓練を実施しました。
また邱氏は、中共が台湾の付近で軍事的プレゼンス(存在感)を高めることは「軍事衝突に至る状況」を引き起こすと述べています。