中国で感染拡大に歯止めがかからないなか、中共政府が講じた「感染ゼロ政策(清零政策)」に効果が見られず、継続できないことが実証されました。極端な防疫対策は庶民にも耐え難い苦しみを与え続けています。一方、政府関係者が先日、防疫規定違反者には死刑判決もあり得ると発言し、物議を醸しています。
10月27日、中共官製メディアの中央電視台は、北京衛生健康委員会の高官が、防疫関連規定に違反した場合は法的責任を追及すると発言したと報じたうえ、続いて弁護士の話として「公共安全危害罪を犯した場合、最高で死刑判決も下すことができる」と報じました。この報道は複数の中国メディアも転載し、極端な防疫手段の是非について論争が沸き起こりました。
元中国警察官、民主活動家の董広平氏
「これこそが中共の考え方だ。民衆を恫喝し、庶民を脅している」
中国政法大学国際法修士の頼建平氏
「これは独裁政権にしかできないことだ。これ自体に何の法的根拠もない」
北京で法律関係の仕事に従事している張博士は大紀元時報の取材に対し、「中国の官僚は疫病の真実を故意に隠匿して内部告発者を恫喝しているが、疫病を国中、あるいは世界中にばらまいたことこそが『公共安全危害罪』を構成するのではないか」と述べています。しかし、新たな感染拡大が生じると、一部の地方官僚は保身のため、防疫措置を次から次へと増やしています。疫病が発生した当時に自分が情報を隠匿したことを直視するよりも、行き過ぎた措置を講じるほうがいいと考えているようです。
ニューヨーク・ タイムズは、「極端なウイルスゼロ政策によって、中国はすでに異端になっている。世界のその他の地域は現在、改めてさまざまな活動を開始しており、ウイルスとの共存を学んでいる。かつてウイルスゼロ政策を採用したニュージーランドと豪州ですら、この政策は継続できず、最終的にはその重荷に耐え切れないことを理解した。中国経済の成長スピードは現在失速しており、各国の世論では中共に対する強硬論が高まっている。中国はおそらく、自国が外交面でも経済面でも孤立を深めていることを理解するだろう」と報じています。
中国国内の専門家もさまざまな声を上げています。疾病制御センターの主任を務める高福(こうふく)氏はこのほどメディアの取材を受けた際に、ワクチンの接種率がある程度の割合に達したのに「なぜ我々は活動を再開できないのか?」と疑問を投げかけ、さらに「ウイルスと共存しないなら、他に何か方法はあるのか?持久戦か」とも述べています。
今年の夏、上海の著名な感染症専門家である張文宏氏が「ウイルスとの共存」を主張した際、インターネットでは張文宏氏を「外国人の犬」と激しく攻撃する声が上がりましたが、時間とともに同氏の主張は微博(ウェイボー)で同意が得られるようになりました。
これに対し、「御用学者」の鍾南山(しょう・なんざん)氏は、「疫病は1か月もかからずにコントロールできる。年末までにはワクチンの接種率は80%以上になるだろう」と述べ、批判を浴びました。
あるネットユーザーは、「雲南省瑞麗市のワクチン接種率は96%に達したと聞いたが、なぜいまだに疫病をコントロールできないのか」と疑問を投げかけています。
別のユーザーも、「こんなに厳しく管理されているのに、三日にあげず新たな感染者が出ている」と投稿しています。
さらに多くのネットユーザーが政府の防疫措置に対し、「医学の専門家は科学的な見地に立って、政府に現在の防疫政策を変更するよう提案してほしい!一個人にも、都市全体の庶民の生活にも、あるいは経済全体に対しても、それらに深刻な影響が及ばないようにしてほしい」と怒りの声を挙げています。
しかし、トロント大学の政治学専門家の王慧玲(リネット・オング、Lynette Ong)氏の言うように、どれほど大きな対価を支払うことになろうとも、中共政権は「感染ゼロ政策」を行うことによって、彼らの合法性を維持しなければならないと考えています。そのため、短期間で中国の民衆の生活に夜明けの光が差し込むとは言えない状況です。