恒大が航空機売却金で補填 中国不動産市場は袋小路に

中国の複数の不動産企業が債務を返済できず、中国不動産業界に存在する体系的な問題を露呈させています。同時に、中国の不動産市場も厳冬期を迎えています。

中国恒大集団の子会社である景程(Scenery Journey シナリー・ジャーナル)は11月6日、米ドル建て債券の利払いができず、恒大集団のデフォルトの危険性が依然として高いことを露呈させました。

景程の総額8249万ドル(約93億1229万円)の米ドル建て債券は、半年に一回利息を支払う必要があります。現在、期限30日の最終猶予期間がすでに始まっており、もしこの期限内に支払いができなければ契約違反とみなされます。

また、ウォール・ストリート・ジャーナルは、恒大集団は返済のため先月、プライベートジェット2機を売却して、急場をしのぐための現金5000万ドル(約56億6700万円)以上を調達したと報じています。

飛ぶ鳥を落とす勢いだったかつての時代、恒大創始者の許家印氏と上層部はこれらのプライベートジェットに乗って世界を飛び回っていました。しかし、現在の状況は様変わりして、今年の6月末の時点で恒大の負債総額は3050億ドル(約34兆4314億円)に上っています。

ブルームバーグは以前に、中共政府がすでに、恒大の債務補填に許家印氏の私有財産を充てるよう命じたと報じています。このことは、中共政府は恒大に手を差し伸べる予定はないことを意味しています。

香港金利豊証券研究部の執行董事、黄徳幾氏
「中国(共)政府の目には、民間のどんな不動産企業であっても『大きすぎて潰せないToo big to fail(TBTF)』と映ることはない。我々は今、すでに恒大が置かれている状況を目の当たりにしている。しかも恒大一社だけではない」

もう一つの中国の不動産大手、佳兆業集団(カイサ・グループ)は11月4日、高利回りの理財商品の支払いができず、5日に同社傘下の子会社3社が香港証券取引所で取引停止となりました。

ロイターは、1年以内に支払期限が来るとされる佳兆業(カイサ)の海外債務は、恒大に次ぐ規模だと報じています。

香港金利豊証券研究部の執行董事、黄徳幾氏
「私は、より多くの比較的小規模の不動産会社もその後を追うと予測している。なぜなら彼らは金融商品を支払い切れない、あるいは米ドル建ての債務を返済しきれないだろうからだ」

不動産業界のデフォルトに関するニュースがしばしば報じられていますが、中国の不動産市場もまた厳冬期を迎えています。10月に中国の重点都市13か所の中古不動産の成約件数が40%減少しました。中古不動産の価格も値下がりを続けており、「秋の需要期」が残念なかたちで終了しました。

アナリストは、不動産価格の下落は政府の金融引き締めや購入制限などの規制政策に関連していると考えています。同時に、デフォルトに直面している大量の不動産企業が売れ残った不動産を急いで投げ売りしていることも、不動産価格下落の一因となっています。このことが、不動産バブルを崩壊させて金融市場に深刻なダメージを与える可能性もあります。

香港の金融アナリスト、李心明氏
「なぜなら、中国の銀行が保有する資産の9割は住宅ローンだからだ。住宅価格が急落し、庶民の未返済金を下回ってしまったら、庶民は返済しなくなり、それが銀行の不良債権になる。この点において、中共は不動産の大幅な値下がりは許容できない。しかし、不動産価格が値上がりし続けてもだめなのだ。なぜならこのバブルがすでに大きくなりすぎているからだ」

ある研究者は、中国の不動産市場はすでに袋小路に入っており、値上がりを続けるにせよ暴落するにせよ、どちらにしても金融危機の引き金を引く可能性があるとして、もし中共が本当に庶民の生活を第一に考えるなら、不動産価格のコントロールを続けるのではなく、市場原理に沿って不動産価格を決定させるべきだと指摘しています。

 
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