中国第二位の鉄鋼メーカー「河北鋼鉄集団」は5年前にセルビアの鉄鋼メーカーを買収しましたが、その後、現地環境が深刻に汚染されたことで、現地住民が次々とがんを発症しています。
セルビアのポドゥナヴェリエ郡の郡庁所在地スメデレヴォはドナウ川沿いに位置し、もともとは風光明媚な場所として知られていましたが、現在この都市は赤い粉塵で覆われています。
現地住民の男性
「すべてのことを部屋の中でやっている。我々は外に出ない。出る気になれない。なぜなら(いたるところ)粉塵と汚染だらけだからだ。私たちは今も、すべてのこのようなもの(汚染物質)を吸い込んでいる」
さらに恐ろしいことは、人口わずか10万人のこの都市のがん患者の数が、この8年間で4倍に膨れ上がった点です。
すべては2016年に中国第二位の鉄鋼メーカーである「河北鋼鉄集団」が現地の鉄鋼メーカーを買収したときから始まりました。
中共中央電視台(CCTV)
「ポジャレヴァツからそう遠くない場所に位置するスメデレヴォは、セルビアにおける『一帯一路』の重要な合同プロジェクトを担う河北鋼鉄セルビア有限公司があるところです」
2018年に中共官製メディア「中央電視台」は一帯一路を推進するため、番組スタッフを現地に派遣して番組を制作しました。
しかしながら、中国資本の企業が欧州の環境汚染基準に従わなかったことで、工場から赤や黒の粉塵が排出され、現地住民にとって終わらない悪夢が始まりました。
現地住民は、2021年には環境汚染が深刻な問題になっていると話しています。油気を含んだ粉塵を肺に吸い込むと呼吸困難になるため、衣類はすべて室内に干さざるを得ないことも現地住民を悩ませています。
この手痛い教訓に直面したセルビア政府は現実を直視せざるを得なくなり、同国のミハイロビッチ副首相は最終的に、汚染物質を減らすことができなければ、工場に罰金を科すか営業停止を命じる必要があると述べました。