米有料道路料金徴収大手の売却 国家安全保障上の懸念

皆さんは有料道路を利用していますか?米国の大手有料道路通行料金徴収会社が、シンガポールに拠点を置く企業に売却を計画しています。売却が実現すると、ドライバーの個人情報や国家安全保障に影響を与える可能性があります。

米国の大手有料道路料金徴収会社とシンガポールに拠点を置く企業との売買契約の可能性について、専門家が警鐘を鳴らしています。

10月初旬、ローパー・テクノロジーズ社は、米国の交通システム大手「トランスコア」の全株式をシンガポール・テクノロジー・エンジニアリング社に26.8億ドル(約3,000億円)で売却することを発表しました。

同社によると、この売却は2022年の第一四半期に成立する予定です。

しかし、中国問題アナリストであるアンダース・コアー氏は、シンガポール企業と中国(共)との関係に懸念を抱いています。

中国問題アナリストでコアー・アナリティクス社重役 アンダース・コアー氏
「シンガポール・テクノロジー・エンジニアリング社の株式の過半数はテマセクという企業が所有しており、テマセク社は2800億ドル(約32兆円)の中国投資を行っている。これは、この企業の総資本の27%だ。中国(共)政府はテマセク社の利益を左右することができる。よってテマセク社は中国(共)政府の影響を大きく受けることになるのだ」

米国株決算資料によると、トランスコア社はE-Zパスなどの決済業務を通じて「米国の有料道路の料金徴収収入の約70%」を担っています。そして「有料道路のある25州のうち、24州にサービスを提供している」としています。

中国(共)の影響を考えると、中共政府がテマセク社に圧力をかけ、データが狙われることも考えられると、コアー氏は語ります。

中国問題アナリストでコアー・アナリティクス社重役 アンダース・コアー氏
「例えば、米国で重要人物に目をつけ、その人物を追跡するなどだ。米国のドライバーの大多数に関する大量のデータを収集することも可能だ」

個人データの収集だけではありません。コアー氏は、最大の懸念は国家安全保障へのリスクであると述べています。

中国問題アナリストでコアー・アナリティクス社重役 アンダース・コアー氏
「国内全体の軍用車の動きさえ追跡することができるのだ」

シンガポール・テクノロジー・エンジニアリング社は、売却後も、トランスコア社は「以前と同じ従業員と経営陣で」運営を続けることは可能であると述べています。

〈字幕版〉

 
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