中国不動産市場を揺るがす危機が再び注目されています。11月24日、大手不動産会社「融創中国」の本部に返済を求めて押しかけた人々がフロアを埋め尽くして眠っている様子がインターネットに公開されました。融創が各地で物件の販売価格を下げて大量に投げ売りしたことや虚偽の宣伝を行ったこと、また物件の品質不良といった問題を起こしたことに対し、同社の物件を購入したオーナーが所有者の権利保護を求めて抗議活動を行っています。
11月24日、大勢の人が融創本部オフィスに押しかけて、フロアで眠っている様子がインターネットに投稿されました。消息筋は、同社に騙された人々が返済を求めて押しかけたのだと明かし、融創の総裁補佐以 上の役職は半年間の給与返上、一定以上の管理職クラスは減給、残りは割合に応じて考慮されると話しています。
融創は返品(契約解除)に応じろ!
インターネットを検索すると、不動産オーナーが融創に対して行っている抗議活動は毎年発生しており、今年は多くのオーナーが、融創が不動産物件の価格を下げて大量に投げ売りしたことに不満をあらわにしていることが分かります。ある物件は1平米当たり数千元値下げしたため、差額が数十万元に上っています。また、別の所有者は、同社が虚偽の宣伝を行ったことや物件の品質に問題があることを指摘しています。
融創中国の販売スタッフ 孫さん
「価格は下がる傾向にある。一部のプロジェクトは値下げしている。年末に行われる一部の優遇も値下げとみなしていいだろう。売れないのだ。なぜなら、物件は今不足していないし、新築物件が山ほどあるのだから。郊外や都市の一部では、場所が少し辺鄙だったり、設備が十分に整っていなかったりしたら、値下げ幅も大きくなる。抗議活動が起きるのは、業界間でも競争があるのだから、いくつかの手段があり、それで物件引き渡しの際にいくつか問題が出ることがある」
昆明融創文旅城(スナックリゾート)の販売スタッフを務める李さんは、抗議活動の理由は物件によってまちまちだが、昆明融創文旅城(スナックリゾート)の場合は第一期分譲分が滇池(てんち)保護区に近かったため、整備と工事が停止されたことがオーナーの抗議活動の引き金となったと説明しています。
融創中国の販売スタッフ 李さん
「どのディベロッパーも問題を抱えている。その問題が大きいか小さいかだけだ。融創の場合は抗議活動を抱えている。第一期の物件は市政府の規定でレッドラインに近づいてはならないため、滇池に近すぎてはならない。だからこそこの権利保護の問題が発生したのだ。懸案になっているのは物件が滞りなく引き渡されるかどうかなのだ。私たちはすでに第一期の一部の物件を引き渡している」
融創に対し権利保護を求めている多くのオーナーは取材に応じておらず、この権利保護問題について融創のスタッフは、このプロジェクトの解決方法を見つける必要があると回答しました。
融創は中国不動産企業上位100社の第5位にランク入りしていますが、現在は深刻な経営危機に陥っています。融創は11月14日、既存株式の割り当てと新規株式の発行を行うと同時に、「融創服務」の既存株式の割り当てを行うとして、その総額は9億5200万ドル(約1078億4300万円)に上ると発表しました。また、融創の孫宏斌(そん・こうひん)董事長は会社を救うために無利息で自己資金4億5000万ドル(約509億7600万円)を投じるとしていますが、翌日には同社の株価が10%も下落し、融創の債権は暴落に歯止めがかからない状況です。