中共政権はテクノロジー分野における締め付けの対象に新たなターゲットを加えました。WeChat(微信)です。このメッセージアプリは中国で最も人気のあるソーシャル・メディア・プラットフォームであり、全世界の月間アクティブユーザー数は10億人を超えているため、「中国のFacebook 」と呼ばれています。
WeChatへの締め付けは、他の中国の大手IT企業とは違う形で行われています。今回、中国共産党は少なくとも9つの国営企業に対し、従業員のアプリの使用を制限するよう命じました。
その理由として、データに関するセキュリティ上の懸念があるとしています。
中共の国営企業の多くはそのスケールが大きく、今回対象となった9社の中には、特に巨大な企業が含まれています。例えば、中国石油天然気集団(CNPC)の従業員数は124万人以上、中国移動通信(チャイナ・モバイル)は44万7千人、中国建設銀行は約34万人です。
これらの企業の従業員は、仕事関連のチャットグループに機密情報が含まれている可能性があるとして、そのチャットグループを閉鎖、または削除するよう命じられました。
ウォール・ストリート・ジャーナルも、中国のアプリストアが中共工業情報化部から通知を受けたと報じています。
11月24日の通知によると、WeChatの親会社であるテンセント(騰訊)は、全てのアプリの更新を停止し、工業情報化部技術チームによる検査を受けてから、合格したアプリのみ公開することができるということです。
テンセントが北京当局の締め付けの対象となったのは、今回が初めてではありません。オンラインビデオゲーム大手であるテンセントは、ゲームの利用時間に対して新たに導入された厳しい制限により、大きな打撃を受けました。また今年の夏には、中共規制当局が、テンセントが2つの大手ゲーム配信サイトを合併することを阻止しました。
昨年以降、大手IT企業が社会に与える影響を危惧して、中共政権が警告を発するケースが増えています。
WeChatのユーザーは、Facebook同様、プラットフォーム上でチャットをするだけではなく、請求書の支払いやタクシーの手配など、様々なことができます。
当局もその高い普及度を利用して、接触者追跡等のサービスを実施しています。これは、市民の携帯電話にインストールされているいわゆる「健康コードシステム」アプリの一部です。市民のワクチン接種記録も同様です。
テンセントのような企業は、現在、想像を絶する量のデータを保有しています。そのため、そのような情報の独占的管理を目指す中国共産党政権の邪魔になっているのです。