一部の専門家は、中国では「感染ゼロ」政策によるロックダウンの影響で、サプライチェーンが寸断されるケースが増えるため、企業はサプライチェーンの問題が予想以上に長びくことを覚悟する必要があると警告しています。オミクロン変異株が広がり、各国政府が恐怖を煽って新たな規制を設ける中、景気回復への不透明感が高まっています。
南アフリカ国立伝染病研究所 アン・フォン・ゴットバーグ教授
「今回の変異株は人口の影響を受けやすくなっている」
この新たな変異株の脅威の下、中共は「感染ゼロ」政策を強化するとアナリストは見ています。その影響でサプライチェーンのボトルネックは大きく悪化する可能性があります。
中共の「感染ゼロ」政策とはどういうものでしょうか?
米国在住時事評論家 唐靖遠氏
「中共ウイルス陽性者とその濃厚接触者は、全員が厳しい検疫を受けなければならない。それと同時に、当局は陽性者が出た近隣地域を少なくとも14日間封鎖する。その後、地域住民、場合によってはその都市全体を対象に、少なくとも1回、ウイルス検査を行うのだ」
時事評論家の唐靖遠氏によると、このような措置は医療ではなく、政治的なものになりがちだといいます。数人の陽性者が出ただけで、大規模なロックダウンにつながります。
唐氏は、そのような政策の下、沿岸部の港湾都市で部分的に感染が発生した場合、その港ではチェック体制が厳格化され、港が閉鎖されることもあるだろうと述べています。
在米時事評論家 唐靖遠氏
「中国の港から米国の港までの平均所要日数が、2019年に20日だったものが、今では30日になっている」
世界海運評議会(World Shipping Council)によると、世界で最も忙しい港のトップ10のうち7つが中国にあります。既にサプライチェーンの難題に直面している企業は、準備を整えておくべきでしょう。
LPSインダストリーズ ポール・ハレンカク副社長
「いついかなる時も準備を整えた上で、前に進むことだ」
LPSインダストリーズのポール・ハレンカク副社長は、このような状況下ではコミュニケーションが非常に重要だと言います。
LPSインダストリーズ ポール・ハレンカク副社長
「私たちは従業員、サプライヤー、顧客とコミュニケーションを取って、彼らが最新の状況を把握できるようにしている。今のところ、サプライチェーンの混乱が我々のビジネスに支障をきたすことがないようにしている」
調査会社オックスフォード・エコノミクスの試算によると、オミクロン株がサプライチェーンに影響を与えた場合、アジアの国内総生産は来年1.6%減少する可能性があるといいます。