河南省がジャーナリストや外国人留学生対象の監視システムを入札で発注【禁聞】

ロイターは11月29日、河南省公安庁がジャーナリスト留学生、そしてその他の「疑わしい人物」の追跡を目的とした監視システムを、ハイテク企業に委託したと独占報道しました。評論家はこのことから、中共が情報の透明性など全く考慮しないだけでなく、監視対象への対処方法しか頭にないことが分かると指摘しています。

ロイターは、河南省政府は7月29日、監視システムの詳細が説明された入札文書を発表したと報じました。このシステムは、国と地域のデータベースにアクセスできる顔識別カメラ3000台を使って、河南省の疑わしい人物の個人ファイルを作成することができます。

200ページ近いこの入札文書は河南省公安庁のものです。この文書では、ジャーナリストと留学生が監視ターゲットに挙げられていますが、その理由は記されていません。またターゲットに、このほかに「近隣諸国からの違法な女性居住者」も挙げられています。

元ファーウェイ南京研究所エンジニア 金淳氏
「中国共産党の統治基盤はイデオロギーの統制だ。なぜなら、ジャーナリストや留学生は自由な情報の運び手であるため、この嘘だらけのイデオロギー社会に最大の衝撃を簡単に与えることができ、彼らのイデオロギー分野の支配を破壊することができるからだ」

別の公式文書から、この入札は9月17日に中国のハイテク企業「東軟(とうなん)グループ」に落札されたことが明らかになっています。東軟と河南省政府は500万元の契約を締結しており、その後2か月以内にシステムを完成させるよう定められています。

ロイターはこの監視システムの運用が、すでに始まっているかどうかは不明としています。11月29日から河南省政府は、一般からの落札説明書へのアクセスを禁止しました。

これら河南省の文書を最初に特定したのは、米国の監視システム研究機関IPVMです。この会社は、今回の競争入札の特筆すべき点は、ジャーナリストを監視ターゲットに据えて、公安部門が彼らの位置を素早く特定し、取材を妨害できるようなシステムを構築するよう求められていることだと指摘しています。

中国の公益活動家 董広平氏
「彼らはジャーナリストや外国人留学生を管理し、河南省の社会の暗部の真実が国際社会から見えないよう管理している。前回の河南省大洪水の時、現地に到着した外国人ジャーナリストは当局が手配した年配の女性らに取り囲まれ、取材妨害を受けた。女性らは彼らを攻撃し、罵った。これらはすべて河南省の末端組織が段取りしたことだ」

今回の入札の数日前に、河南省で豪雨災害が発生しました。当時、BBC、ロサンゼルス・タイムズ、フランス通信社、AP通信などの外国メディアは、河南省の災害を報じたため嫌がらせや脅迫を受けていました。

男性
「あれはどこのメディアだ!外国の分裂(分子)だ!中国を陥れようとしている」

災害の数日後、河南省政府はこの監視システムの入札に関する発表を、災害調査の開始日よりも1か月も早く行いました。一方、中共国務院が「河南省豪雨災害調査チーム」をようやく発足させたのは8月20日でした。

中国の公益活動家 董広平氏
「疫病や水害が現在のようになっても、彼らはここまでスピーディに現地へ支援金を送らないのに、彼らの監視システムに費やす金はあっという間に準備ができる。これが中共の邪悪な部分だ。彼らは金を庶民には使わず、監視システムによって庶民を統治するために使っている」

入札文書によると、監視システムは少なくとも2000人の職員と警察に使用されます。また監視カメラがマスクや眼鏡を使用中の人も識別できるようにするため、正確なファイルを作成する必要があります。ジャーナリストはそのリスク等級に応じて分類され、高リスクは赤色、中リスクは黄色、低リスクは緑色に色分けされるほか、彼らが河南省のホテルにチェックインしたり交通機関のチケットを購入したり、省を出入りしたりする場合は警報が出るようになっています。

このシステムはさらに、スマートフォンの位置情報とホテルなどの予約情報を通じて外国人留学生の行動、特に10月1日の中共の建国記念日や政府の年度会議といった敏感な時期の行動を追跡するよう求められています。入札文書には「敏感な時期には、戦時中事前警報メカニズムを起動しなければならない」と記されています。

元ファーウェイ南京研究所エンジニア 金淳氏
「中共は情報の透明性のことなどまったく考えず、決して現実に直面しようとはしない。つまり彼らはこれらの事実やこれらの事実を明らかにする人への対処方法しか考えていない。これから先、外国人ジャーナリストは北朝鮮の外国人ジャーナリストのようにさらに厳格に管理されるようになるだろう。しかも、入手できる情報も限られてくる」

中国の公益活動家の董広平氏は、「今回は河南省の入札と監視システムだけが明るみに出たが、実際には、中国の他の省や都市にも厳格な監視手段やプロセスがある。もはや香港でさえも自由が失われた。よって多くの海外ディアが、オフィスを台湾に移している」と指摘しています。

 
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