中共の威圧にも屈せず リトアニアの外交官全員中国から退去

リトアニアは、中共当局による継続的な内政干渉や抑圧を受けて、駐中国大使館職員全員を呼び戻しました。台湾や人権問題をめぐり、両国関係は著しく悪化しています。

12月15日、駐中国リトアニア大使館の職員全員が中国を退去しました。リトアニアのランズベルギス外相は、大使館を閉鎖したのではなく、職員不在の間、領事業務は遠隔で対応すると説明しました。

リトアニア ランズベルギス外相
「厳重に申し上げるが、大使館を閉鎖したわけではない。外交官たちが戻ってきたのは、在外公館の名称をどう変えるかについて見解が分かれているため、協議が必要だからだ」

リトアニアは、台湾の大使館に相当する「台湾代表処」の設置を認めました。これに反発し、中共外交部の報道官は11月26日の定例記者会見で、リトアニア駐在の外交機関の名称を「大使館」から「代表処」に格下げすると述べました。また、リトアニアにも中国駐在の外交機関の名称を、これに相応して変更することを求めました。これに対してランズベルギス外相は、中共側の要求はリトアニアの法律に反するだけでなく、他国に対し名称変更を一方的に要求するのは、ウィーン条約にも違反していると示しました。

英国の「フィナンシャル・タイムズ」は消息筋からの情報として、中共はリトアニア外交官に身分証明書の返納を求め、その外交的地位を格下げしたと伝えています。リトアニア外交官は、これにより外交特権を失い、中国での身の安全が懸念されていましたが、中共側は「事実無根」と非難しています。

EU加盟国であるリトアニアと北京の関係悪化は、EU全体にも影響を及ぼしています。

EUのナビラ・マスラリ報道官
「我々はこの状況を注視しており、リトアニア当局と緊密に連絡を取り合っている。すべてのリトアニア外交官とその家族は、12月15日の朝にすでに北京を離れた。EU代表団のスタッフが同行している。外交官とその家族の退去は、リトアニア当局の主権による決定であり、外交官たちにとって最良の選択である」

リトアニアは、中共と外交関係を結んでいる国の中で、台湾の在外公館名称に「台北」ではなく「台湾」の使用を認めた唯一の国です。また、リトアニアは2022年北京冬季五輪に対し、外交的ボイコットを正式に表明した最初の国です。

 
関連記事