金融専門家「孫正義氏の勝利の方程式は消えた」

ソフトバンクは、アリババとオンライン配車サービス「滴滴出行(ディディチューシン)」に投資したことで深刻なダメージを受け、第3四半期の損失額は約3982億円に上りました。ソフトバンクは他にも、米国の制裁リストに先日収載された中国の商湯科技開発有限公司(センスタイム)の株式の約15%を保有しています。金融専門家の謝金河(しゃ・きんが)氏は、孫正義氏が過去20年間で築き上げた勝利の方程式は今や完全に消滅しており、原因は孫氏が中国とジャック・マーだけに賭けていたからだと指摘しています。

ソフトバンクの孫正義代表
「ソフトバンクがどうなったかというと、また嵐の中に突入ということでございます」

ソフトバンクの孫正義代表は11月、7月から9月の連結決算は、最終損益が3979億円の赤字になり、これは6四半期ぶりの赤字だと発表しました。ソフトバンク傘下のビジョンファンドの赤字はこのために100億ドル(1兆1360億円)を上回りました。

台湾の金融専門家、謝金河氏は、ジャック・マーがアリババを去ってからというもの、孫正義氏はやることなすことうまくいかないようだと指摘しています。ソフトバンクの株価は10695円から5057円まで急落して値下がり率は52.72%となり、日本の株式市場で最も値下がり率が大きくなりました。

台湾の金融専門家 謝金河氏
「過去20年の間、彼は日本で金儲けの神だった。だが今は儲けてもいないうえ、大損をすることが多いようだ。だから今回の件からもわかるように、もし賭博ゲームをする際に、中国だけに賭けるのなら、あるいはジャック・マーだけに賭けるのなら、この情勢が反転した時に、孫正義の過去の成功モデルは、この分野において非常に大きな試練に直面することになるだろう」

謝金河氏は、「アリババの今年の株価が4割減となったほか、関連事業の株価も急落した。滴滴出行は今年、14ドルの株価で米国で株式上場したが、現在は上場廃止を迫られていて、株価も6ドルまで下がっている。値下がり率は66%だ。その21.5%を保有するビジョンファンドは最大の敗者となった」と分析しています。謝金河氏は、孫氏はもともと、英国のARMを買収して740億ドルで米国のエヌビディアコーポレーション(NVIDIA)に売却しようと考えていたが、米連邦取引委員会(FTC)から独占禁止法に抵触したとして提訴され、この買収計画を阻止されと指摘しています。

ソフトバンクは中国市場に広く投資を行っていますが、中共当局がハイテク産業やイノベーション産業の締め付けを強化しているため、かつては「金の卵を産むニワトリ」だった中国市場が、今は振り払うことのできないお荷物になってしまいました。

台湾の金融専門家 謝金河氏
「このことは台湾企業にも警鐘を鳴らしている。つまり、今回の台湾の遠東集団の徐旭東の事件かもわかるように、中国(共)は企業を色分けするため、台湾企業は細心の注意を払う必要がある。つまり、うっかりレッドラインを踏んでしまったら、とんでもない災難に見舞われる可能性がある。だから数年前から台湾企業は、事業の重心を台湾に戻すことに非常に積極的になっていた。今思えば、これは正しい選択だった」

謝金河氏は、孫正義氏は中国への投資が、当局の方向転換によって苦境に立たされているが、これが最後ではないだろうと指摘しています。中国向け投資に最も積極的なウォールストリート投資銀行も痛手を負う可能性があるが、それは来年の第一四半期の財務諸表で明らかになるだろうと述べています。

 
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