英国のサイバー新戦略 レジリエンスの確立

英政府は新しい政策文書を発表し、世界のサイバー大国としての地位をどのように確立していくかについて示しています。

「国家サイバー戦略2022」は、高いスキルや優先度の高い仕事へのアクセスを開放することを目的としています。

サイバーエクスプローラー(Cyber Explorers)という新しいオンライントレーニング・プラットフォームは、若者にオンライン授業でサイバー技術を教えることになります。

また、新しい「王室の勅許」により、サイバー人材がエンジニアリング等の他の専門的職業に匹敵するようにキャリアアップを図ります。

英政府はこれらの計画を支援するために、今後3年間で26億ポンド(約3,900億円)の投資を決定しています。

スティーブ・バークレー内閣府大臣は、重要なサイバー技術における英国の専門家を強化し、「我々の価値観を共有しない」政権への依存度を減らすことが二つの「主要な目的」だと述べました。

これは、中国のIT大手ファーウェイ(華為技術)に英国の5Gネットワークへアクセスすることを認めた英政府の決定が、トランプ政権の圧力を受けて決定を覆したことをめぐる論争を受けてのものです。

ファーウェイの5Gインフラは、2027年までに英国の5Gネットワークから完全に撤去される予定です。

サイバー戦略文書には、「今後10年間に中国がどのように進化するかは、恐らく英国の将来のサイバーセキュリティを左右する唯一、最大の推進力となるだろう」と記されています。

また同文書では、西側諸国を標的にしてランサムウェア攻撃を仕掛けている組織犯罪集団の多くが、ロシアを拠点としていることを指摘しています。また、全世界で25万台以上のサーバーに影響を与えたサイバー攻撃の背後には、中共政権の後押しを受ける人たちがいることも指摘しています。

英国が最高レベルのサイバーレジリエンスを確立するために、新しい組織やシステムの制御・運用技術セキュリティ(Operational Technology Security)のための国立研究所が新設されます。

プリティ・パテル内務大臣は、「この戦略は、刻々と変化するサイバー犯罪の脅威に対する政府の対応力を大幅に改善するものだ」と述べています。

〈字幕版〉

 
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