ニューヨーク・タイムズは12月20日、中共は月額料金を支払う形で請負業者にフェイスブックやツイッターなどに大量の偽アカウントを作成させ、大規模な対外プロパガンダ戦略を絶えずアップグレードしていると報じました。
ニューヨーク・タイムズは12月20日、「影響力を買う:中国はフェイスブックとツイッターをどのように操作しているのか(Buying Influence:How China Manipulates Facebook and Twitter)」と題した記事を掲載しました。ここでは、中共政府が企業に毎月相応の費用を支払って彼らの国外ソーシャルメディアに偽アカウントを作成させることによって、中共の「大規模な対外プロパガンダ」を実現させるために講じている手段と詳細が明らかにされています。
ニューヨーク・タイムズは中共政府の調達サイトから、今年6月11日に上海市公安局浦東分局が公布した成約公告を見つけました。この入札項目は「世論技術サービス項目」で、落札した企業は「上海雲鄰通信技術有限公司」でした。
関連のサービス項目と単価は次のとおりです。
国外SNSサイト登録費…月額5000元(約9万円)
国外SNSサイトアカウント実行費…1回につき9800元(約17万5000円)
オリジナル動画作成…月額4万元(約71万円)
公安局の文書では、各サービスに対し明確な要件が定められています。たとえば、サプライヤーはフェイスブック又はツイッターといった主流のSNSアカウントを毎月300件提供するよう求められているほか、指定された内容を国外のインターネット掲示板に毎月最低10回投稿し、しかもその投稿が掲示板のトップに表示されるようにしなければならないといったことが求められています。
ニューヨーク・タイムズは、「これらのアカウントネットワークはSNSの『いいね!』や転送などを通じて政府公式アカウントをサポートしている。また、彼らは政府の政策に批判的なユーザーを攻撃したりもする」と報じています。
中共公安局はさらに、サプライヤーが一部のアカウントに一定数のファンをつけること、これらのファンを毎月増やすこと、そして長く続く優良アカウントに育てることなども求めています。
ニューヨーク・タイムズは「これらの要求は、金で買ったこれらのアカウントを通じて、必要に応じて一般市民と緊密にやり取りすることを警察が理解していることを示すものだ。積極的なフォロワーの多いアカウントを作り上げ、必要な時に政府の目的を実現するために使うのだ」と報じています。
ニューヨーク・タイムズはさらに、上海浦東公安分局は今年11月にも「上海萃橋文化傳媒有限公司」から動画作成サービスを購入して、毎月最低20件の「世論闘争オリジナル動画」を作成して、国内外のSNSに投稿するようサプライヤーに求めています。
米国が主導した世界100か国が参加する民主主義サミットの終了後、米国を軸とした民主体系と独裁政権の中共との間の対立がより表面化してきたようです。ニューヨーク・タイムズの今回の報道は、中共が最も力を注いでいるプロパガンダ分野に焦点を合わせることによって、中共が自身の権威主義を推進するための具体的な手段として、世界のSNSを利用していることを明らかにしています。
時事評論家 横河氏
「実際には、西側の左派であっても、ごく少数の極左社会主義者や共産主義者を除き、そのほとんどはやはり中共は彼らの理念や実践に対する脅威であり、両者は対立していると認識している。さらに米国の支配エリートも一般市民からの支持を必要としている」
中国国内では、フェイスブックやツイッターといった大手SNSは当局によってブロックされているため、中国国内の人々はネット封鎖を突破しなければ使用できません。また中国のすべての新聞、テレビ、ラジオ局は党の指導下に置かれており、インターネット上にもネット警察やネット水軍などがいたるところに存在しています。
時事評論家 横河氏
「中共は成立から統治まで、暴力と嘘という二つの手しかない。政権を奪うときには銃口とペンを使った。政権の守りに入ってからは、刀とペンでそれをやる。ここでいうペンとはほとんどの場合プロパガンダを意味している。中国国内においては、国民の洗脳という役割があり、国外では二つの役割がある。その一つは、国内にフィードバックして、中共の統治の合法性を強化すること、そしてもう一つは、国際社会での影響力を奪って、既存の国際秩序を破壊することだ。現在は一つ目の防御型を実行しながら、二つ目の侵攻型方式への転換を図っているところだ」
ニューヨーク・タイムズの今回の報道によって、企業を利用したSNSの操作を通じて中共がプロパガンダを輸出していることが明らかになりました。また、別の報道では、中共が海外のインフルエンサーをどうやって買収しているかについて明らかにしています。