米IT大手のインテルが中国のSNSに謝罪文を掲載しました。同社は新疆ウイグル自治区での強制労働について発言したことで、中国のソーシャルメディアで反発を受けていました。
米IT大手インテルの謝罪文が、中国のネット上で拡散されています。関連するハッシュタグは3億回以上閲覧され、議論は10万件を超えています。
インテルは、中国での強制労働に関する発言について謝罪しました。
同社はサプライヤーに対し、中国の新疆ウイグル自治区での強制労働の懸念があるとして、当該地域から商品を調達しないよう書簡で伝えていました。
新疆ウイグル自治区は中国北西部に位置しており、イスラム教徒中心の少数民族であるウイグル人1200万人が居住しています。
米政府は、北京政権がウイグル人に対して奴隷労働、大量拘束、強制不妊手術等によるジェノサイドを行っていると指摘しています。北京政権は、新疆ウイグル自治区での人権侵害を否定しています。
中国国内では、インテルの書簡が大論争を巻き起こしました。中共のタブロイド紙は「インテルが飼い主の手を噛んだ」と非難しています。
中国はインテルにとって最大の市場の一つです。昨年は売上高の4分の1、200億ドル(約2.2兆円)以上を中国で稼いでいます。
反発を受け、インテルは中国のソーシャルメディア微博(ウェイボー)に、「本来の意図は米国の法律を遵守することだったのだが、この書簡は、大切な中国のパートナーに多くの疑問や懸念を引き起こしたことに強く遺憾の意を表す」と投稿しました。
しかし、一部の中国のネットユーザーはこの謝罪で納得していません。あるユーザーは、「なぜ中国はこんなに不誠実なあなたがたと取引しなければならないのか?」とコメントしています。
また別のユーザーは「だったら中国に商売に来るな。米国で法律を守っていればいい」というコメントを残しています。
中国のネットユーザーが新疆ウイグル自治区での人権侵害を認識しているかどうかは不明です。中国のインターネットでは、関連する話題は厳しく検閲されています。
一方、欧米企業がそれらについて発言すると、官製メディアはその企業に対する民族主義的な怒りを扇り立てます。
北京政権のレッドラインを越えたために圧力を受けた企業は、インテルが初めてではありません。H&Mのようなブランドは、新疆ウイグル自治区での強制労働について懸念を表明した後、不買運動に遭いました。アディダスも同じような目に遭いました。
米ホワイトハウスは、インテルの状況について次のようにコメントしています。
ホワイトハウス ジェン・サキ報道官
「一企業の具体的な状況についての言及は控える。ただ一般論として言えるのは、民間企業や国際社会は、中華人民共和国が市場を武器に人権への支持を抑圧することに反対すべきだということだ。また我々は、米国企業は、基本的人権のために立ち上がり、抑圧に反対することに対して決して謝る必要性を感じるべきではないと考えている」
さらにサキ報道官は、実際サプライチェーンにおける強制労働に対処しない企業は米国だけでなく、欧州やその他の世界各地域でも深刻な法的リスクに直面していると述べています。