2021年のバイデン政権発足後、米国はさまざまな分野でトランプ政権時代の対中強硬姿勢を継承しています。ここで、この一年間のバイデン政権対中政策を振り返ってみましょう。
今年11月16日、バイデン大統領と習近平総書記が初のビデオ首脳会談を行いました。しかし双方の話はちぐはぐで、終了後も共同声明は発表されませんでした。これについて専門家は、基本的価値観の違いによって、両国間の矛盾と膠着状態が生じているため、解決できないと指摘しています。
この首脳会談のあと、バイデン政権は一連の行動に着手しました。12月6日、ホワイトハウスは北京オリンピックの外交的ボイコットを発表し、9日から10日にかけて米国は世界民主主義サミットに台湾を招待しました。さらに12月16日には、米財務省が中国企業8社を中共の人権侵害に関与しているとして投資ブラックリストに収載しました。
2021年を振り返ると、バイデン政権の対中政策は、基本的にはトランプ政権の政策を踏襲していたと言えます。
米政治分析機関ストラテジック・フォースキャストのロジャー・ベーカー副総裁
「我々は、中国(共)が米国にとって重要なライバルであることは、すでに両党の共通認識になっていることを確認している。この共通認識は、議員や大統領が変わったとしても米国の政策を今後も後押しする」
バイデン政権は、前政権の重要な分野を継承しています。それは米台関係の継続と促進です。
今年、米国の軍艦は台湾海峡を11回通過しました。台湾の蔡英文総統も、米国の小部隊が台湾に駐留して台湾軍の訓練のサポートを行っていることを公に認めています。また6月から、米国は軍用機を何度も台湾に派遣し、複数の上院議員と元高官を訪台させています。
10月21日、バイデン大統領は台湾海峡で戦争が勃発した場合、米国は台湾を守ると自ら発言しました。
米政治分析機関ストラテジック・フォースキャストのロジャー・ベーカー副総裁
「米国では今、台湾に対する曖昧な戦略政策を終了するよう呼びかける声が再び現れている。そして台湾防衛問題において、より具体的で明確な声明を発表するよう望んでいる」
バイデン政権発足後、米国はハイテク分野においても中共とのつながりを全力で切り離そうとしています。
例えば、3月にはファーウェイやZTEをはじめとする中国のハイテク企業5社を米国の国家安全保障に対する脅威と認定して、米国政府がそれらの製品とサービスを購入することを禁止しました。4月には中国のスーパーコンピューター7台を輸出を規制する「エンティティリスト」に収載しました。さらに6月には、米国企業と投資家がファーウェイなどの中国企業59社に投資することを禁止しています。
経済・貿易関係では、バイデン政権は中国に懲罰的関税を課して、米中第一段階経済・貿易協定を順守するよう要求しています。
専門家は、トランプ元大統領が単独プレイだったことと比較すると、バイデン大統領は同盟国との連携をより重視して、共同で中共に対処する傾向にあるようだと指摘しています。この分野においてバイデン政権は次の二つの成果を上げています。
一つは豪州(AU)、英国 (UK)、米国 (US)の三国間の軍事同盟「Aukus(オーカス)」を締結して、豪州に原子力潜水艦を提供すること、二つ目はトランプ時代に成立した日米豪印戦略対話「Quad(クアッド)」を強化した点です。
米政治分析機関ストラテジック・フォースキャストのロジャー・ベーカー副総裁
「バイデン政権は、関税を大幅に引き下げていないし、米中貿易関係においても大幅な調整を行っていない。また、この政府は、インド太平洋地域の国防と安全保障協力を強化している」
このほかにもバイデン政権は、人権問題を米国の外交政策の中心に据えると発表しています。2021年に米国は、新疆ウイグル自治区や香港の人権問題に関して複数回にわたり、中共高官と実体に対し制裁を加えています。
また、中共の成都610(ろくいちまる)弁公室の元主任、余輝(よ・き)は法輪功学習者を迫害したことで、米国が公に制裁を下した中共高官の最初の一人となりました。
ある専門家は、2022年も軍事、台湾海峡、ハイテク分野、人権などの重要分野において、米中関係の緊張関係は継続するだろうと考えています。また米国の中間選挙後に、バイデン政権の対中政策はより強化するだろうとの見方も示しています。