中国は、世界の最先端のチップメーカーに追いつくために数十億ドルを費やしてきました。しかし最近、中国の一部新興企業の失敗が明らかになりました。成功に至らなかった理由について探ってみましょう。
チップメーカーのTSMCやサムスンに対抗するという中共の夢は、破れました。当局は、武漢と済南の２つの半導体プロジェクトを支援するために、数億ドルを投入しましたが、どちらもチップの製造販売には至りませんでした。
中国問題評論家 唐靖遠氏
「石油が国の産業にとって血液であるならば、半導体チップは産業の頭脳である。したがって、チップ製造技術はその国の総合的な技術力を表していると言える」
中国問題評論家の唐靖遠氏は、中国は世界最大の半導体需要を抱えているため、半導体の増産は中国にとって極めて重要だと述べています。
中国問題評論家 唐靖遠氏
「中国は現在、年間12億台近くの携帯電話と３億５千万台のコンピューターを製造しており、これは世界半導体市場の需要の３分の１を占めている。しかし中国国内のチップの自給率は30％未満だ。特に不足しているのは、ハイエンドチップだ」
しかし、企業の報告や地方政府の文書によると、過去３年間で、武漢や済南を含む、少なくとも６つのチップ製造プロジェクトが失敗に終わっています。
その原因について、唐靖遠氏は、中国の産業基盤が弱く、ハイエンドチップを製造する専門家が不足していることが、理由の１つだといいます。
中国問題評論家 唐靖遠氏
「中共の経済モデルは長年にわたり、常に迅速な成功と目先の利益を追い求めてきた。一方、半導体はサイクルが長く、多額の投資が必要だ。中共は初期段階ではそれを重視しなかったが、後にその重要性に気づき、ごく短期間で追いつこうとしはじめた。しかし、健全な基盤がないには、それは砂上の楼閣にすぎないのだ」
２つ目の理由は、中国の政治・経済体制であり、そこからは革新的な環境は育たないと唐氏は指摘します。
中国問題評論家 唐靖遠氏
「中国では、この種の高度な戦略プロジェクトには全て国有資本が投資している。つまり、政府高官が科学開発をリードし、アマチュアが専門家を指導することになる。その結果、中国は効果的なイノベーション（革新）ができないのだ」
唐靖遠氏は、チップ開発は政府の業績に紐づいているといいます。イノベーションにはリスクと責任が伴うため、政府高官は意思決定の際、イノベーションを恐れ、中止することもあります。これに対し、低リスクのプロジェクトが最終的に奨励されることになり、全体としてイノベーションが抑制されているのです。
