日本政府は、2018年度をもって約40年にわたる中国に対する政府開発援助(ODA)の新規採択を終了しました。採択済の案件は2021年度末で全て終了します。
日本はこれまで、金融、テクノロジー、エネルギー、通信技術の分野におけるインフラ整備など、経済成長にとって重要な分野で経済援助を行ってきました。それでは、日本は中国に対してどの程度拠出してきたのでしょうか。
外務省の開発協力白書のデータによると、対中ODAの総拠出額は約3兆6500億円に上ります。内訳は、無償資金協力に充てられた累計供与額が約1500億円、必要な資金を低金利で長期的に貸し出す有償資金協力(円借款)での累計供与額が約3兆3千億円、技術協力での累計供与額が約1800億円となっています。
では、日本の対中ODAを実施する要因とは何だったのでしょうか。
1980年代、中国はまだ発展途上国であり、対外的に門戸を開放する改革開放政策が始まってから間もない時期でした。欧米と同様に、日本も貿易や対外援助を通じて中国共産党政権が民主化の方向に向かうと考えられていたためです。
しかし、日本や欧米の思いとは裏腹に、現在、中共は民主主義や自由からますます疎遠になっています。
日本にとってもうひとつ、ODAを打ち切る要因があります。それは、日本が膨大な拠出額を提供しているにもかかわらず、中共政権が日本からの援助について国民に周知するのに消極的だったことが挙げられます。
日本のODAにより、日中関係の改善が促されるどころか、ODAを受け取る反面で、反日感情を煽る事例も見られました。
中共政権が危機的状況に陥る、または政権への国民の不満が高まった際、「共通の敵」を作るのは中共の常套手段となっているようです。いわゆる「敵国」は、中国の国民を団結させ、彼らの関心を国内問題から遠ざけるために利用されています。