中共ウイルスと外交ボイコット…内憂外患の中で北京冬季五輪が開幕

2月4日、北京冬季オリンピックが始まりました。今回のオリンピックは、西側諸国からの外交ボイコットと中共当局による厳しい「感染ゼロ政策」という内憂外患を抱えた中でスタートしました。

2月4日、北京冬季オリンピック開会式が国家体育館、通称「鳥の巣」で開かれ、中共の習近平総書記の開幕宣言のあと、選手2人がオリンピック聖火を灯しました。

今回のオリンピックは、西側諸国からの外交ボイコットのほか、国内では厳しい感染防止対策が講じられていることから、過去数十年で最も物議をかもしているスポーツの祭典だと考えられています。

AP通信は、この北京オリンピックにおいては、パフォーマンスと現実との間の溝が鮮明になっていると報じています。ステージ上で繰り広げられるスポーツイベントと、現実世界の中の厳格な管理措置が非常に対照的だからです。

オリンピックの前に中共は一部の反体制派を自宅に軟禁したほか、中共高官は参加選手に対し、抗議した場合は罰すると警告もしています。

2月4日、オランダの公共放送局の駐北京記者がオリンピックの生中継中に、中共私服警官から放送を妨害され、放送も中断しました。

オランダNOSの記者
「ちょっと待って、今ニュースを配信中です」

オランダNOSの記者
「我々は連行されているところだ。「我々はさっき、別の地区から連れてこられた。あとからまた報告することになるだろう。何をするんだ」

オランダのスタジオにいる番組キャスターが浮かべた驚きの表情が、AP通信の報じた「西側はかつて、オリンピックを開催することによって、中共がその『人権記録』を改善することを望んでいたが、こうした期待はもう、戻ってくることはない」という言葉を裏付けています。

なぜなら、外交ボイコットによって、西側の大国の高官は誰一人として今回の開会式に参加していないからです。北京当局の顔を立てた唯一の国家元首は、ロシアのプーチン大統領でした。目ざとい記者は、ウクライナの代表団が主賓席の前を通り過ぎる時、プーチン大統領が居眠りを装っているのを見つけました。

ウクライナ情勢によって現在、ロシアと西側諸国との間の緊張感が高まっています。オリンピックを口実にしたプーチン大統領の訪中は、プーチン大統領と中共当局との「相互協力」を表していると考えられています。

今回のオリンピックにはもう一つ、特筆すべき点があります。すべての選手と大会関係者は、非常に厳格な感染防止対策が講じられている「クローズドループ」から外に出られず、外部からほぼ隔絶した生活を強いられることです。競技参加者は全員、毎日のPCR検査が義務付けられ、陽性反応が出た場合、隔離施設での長時間の隔離を余儀なくされます。

スケルトン女子ベルギー代表のキム・マイレマンス選手が、自身に対する隔離措置について涙ながらに訴えている動画が、世界から注目を集めました。マイレマンス選手は北京に到着後、検査で陽性となり、3日間隔離されたのちに3回の検査で3回とも陰性が出たにも変わらず、別の隔離用ホテルに送られ、再度7日間の隔離を求められました。最終的にはこの件にIOCが介入し、マイレマンス選手は選手村に入ることができました。

華やかで盛大な開会式でスタートを切り、人工雪100%の会場を舞台にした今回のオリンピックで、一体どんなストーリーが描かれるのでしょうか。

 
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