8人の子供の母親の身元情報が二転三転=江蘇省

世論の圧力を受けて、中共当局は人身売買の被害者とみられる8人の子供の母親に対する調査報告を発表しましたが、そこには数々の疑問点があります。この女性の出身地についても、当局の発表は二転三転しています。

江蘇省徐州市豊県に住む8人の子供の母親が深刻な虐待を受けていた事件は、旧正月中にもかかわらず中国社会で注目を集めていました。

中共の官製メディアは2月7日、徐州市と豊県の各政府の合同調査チームによる調査結果を公開しました。

そこには、この女性の故郷は雲南省福貢県亞谷村で本名は小花梅、両親はすでに他界と記されています。しかし、重要な情報であるはずの誕生日が記されておらず、「両親は他界」との説明は、彼女について証言する直系の親族がいない、つまり彼女のルーツをたどることができないことを意味しています。

この報告には、「この女性は他地域の男性と結婚したが2年後に離婚し、1996年に亞谷村の実家に戻ってきたときにはすでにおかしな言動をするようになっていた。その後、同じ村の桑(そう)という人物が治療のため女性を江蘇省に連れて行ったが、江蘇省東海県で女性が失踪し、桑は警察にも届けず女性の家族にも知らせなかった。桑はこの女性の母親から、女性を江蘇省に連れて行き、回復したらよい嫁ぎ先を見つけてほしいと頼まれていたと話している」と記されています。しかし、この桑という人物はいったい誰なのか。そしてなぜ桑は、女性が失踪した時に警察に届け出なかったのか。この女性の両親はなぜ自分で連れて行かずに人に頼んだのかなど、多くの疑問が残っています。

中国の人権派弁護士で米国在住の客員研究員の陳建剛氏
「もしあの当時、彼女が精神を病んでいたのだとしたら、結婚には不適格だったはずだ」

報告書にはさらに、女性は市級と県級の医療専門家から総合失調症と診断され、総合治療を受けたと記されています。しかし、この女性に精神疾患があったという話はすべて当局の一方的な話に過ぎず、独立した第三者が確認したわけではありません。そして女性が話している様子には、精神疾患を患った人を思わせる言動は見られませんでした。

江蘇省徐州市の8人の子供の母親
「遠い。(彼らは)私を行かせてくれない。私を手放すのはあり得ない。この世界は私が要らないんだ」

8人の子供の母親
「この家の者たちは人間ではない。全員がレイプ犯だ」

当局が発表するこの女性の出自についても、すでに複数の話が飛び交っています。当局の今回の発表によると、この女性の出身地は雲南省福貢県とのことですが、江蘇省徐州市豊県の中国共産党県委員会は1月28日に、この女性は江蘇省徐州市豊県歓口鎮の生まれだと発表しており、その2日後の30日には豊県の共産党委員会が、この女性はよそで物乞いをしていたのを董という男性の父親に引き取られ、それから董と生活を共にするようになったと発表しています。

中国の人権派弁護士で米国在住の客員研究員の陳建剛氏
「彼らは犯罪被害者(の女性や子供)の身分を合法化し、誘拐されたよその家の女の子を買ってきて、家族として一緒に生活させた。20年余りの長い年月の間に、違法な拘束や、鎖でつなぐといった行為が継続できたのは、現地政府の容認や協力、ひいては自身もそれに参与した結果だ」

今回の調査結果が発表される前から、この女性の住む地域に外部の人間は入れなくなっていました。あるネットユーザーが公開した動画には、現地がぐるりと封鎖され、外部から立ち入りできなくなっている様子が撮影されています。

陳建剛氏は、もし中共当局が「感染ゼロ」対策と同じように、人身売買人に対し「ゼロ容認」を徹底していたら、犯罪率は最低まで減らせるはずだと述べています。

中共当局が調査の進捗状況を発表した同じ日に、四川省南充市の行方不明の女児である李瑩(り・えい)さんの叔父の李大成さんが、公安部の女性・児童人身売買犯罪取締弁公室に宛てて、徐州の8人の子供の母親は李瑩に酷似しているため、再調査を求めるとの書簡を送りました。李瑩さんの行方が分からなくなったのは1996年12月6日で、当時12歳でした。

 
関連記事