米国がフィギュアスケート種目で金メダル獲得を祝っているとき、競技会場の近くでは人権侵害が起きているかもしれません。米国のフィギュアスケーター、ネイサン・チェン選手が金メダルを獲得した会場から車ですぐの場所に、中共の拘置所があるのです。
法輪大法情報センターは先日、北京の拘置所の位置を示す地図を発表しました。
法輪大法情報センター リーバイ・ブラウデ事務局長
「私たちは北京全域を調べ、主なオリンピック会場と刑務所、拘置所の地図を作成した。そうすることで、現代中国において、この二つのことがいかに近いところで行われているかを、自分の目で確認することができるのだ」
その1つが、北京の朝陽拘置所で、フィギュアスケートの会場である首都体育館から車で10分ほどの所にあります。
この拘置所ではおぞましい拷問が行われています。米国に拠点を置く法輪功情報サイト「明慧ネット」には、数々の迫害事例が寄せられています。
法輪功学習者の肖鳳文さんは以前、朝陽拘置所で拘束されていました。彼女がハンガーストライキをした時、警察は彼女に強制摂食を行いました。強制摂食は中共当局の拷問手段の一つです。警察が彼女の口をペンチで無理やりこじ開けたため、彼女の歯は緩んでしまいました。ある時は、彼女の鼻から胃にチューブを挿入して、強制摂食を行いました。そしてそのチューブを前後に引っ張って、さらに苦しめました。
別の女性学習者も、明慧ネットに自身の体験を語りました。
「看守らは私に高濃度の塩水を流し込み始めた。強制摂食が終わってもチューブは抜かれないので、呼吸するたびに激痛が走り、目は涙でいっぱいになった。その苦しみは筆舌に尽くしがたいものだった」
拷問に関する他の記述では、氷点下の気温の中、警察が冷水を被拘束者に浴びせたというものもあります。そして、その水がゆっくりと彼らの体の上で氷に変わるのを待つといいます。
法輪大法情報センター リーバイ・ブラウデ事務局長
「この政権は、良心の囚人に対して恐ろしいことを行っています。彼らの主要都市のど真ん中で、オリンピックの真っ最中にです」
オリンピックの期間中、北京当局は警備員を増員し、会場周辺の警備を強化しています。
ブラウデ氏によると、北京当局はオリンピックの警備の強化と同時に反体制派への弾圧も強めているといいます。これは2008年のオリンピックの時から続いていることで、当時、中国の人気歌手で法輪功学習者の于宙さんと妻の許那さんが逮捕されました。
法輪大法情報センター リーバイ・ブラウデ事務局長
オリンピック関連の検問で、警察官は彼らのバッグの中にある法輪功の書籍を見つけた。それだけだ。それだけで二人は拘束されたのだ。
許那さんの夫は拷問により、わずか数日後に獄中で死亡し、許さんは3年後に釈放されました。しかし、今年の冬季オリンピックを前に、北京の裁判所は許さんに再度懲役8年の判決を言い渡しました。
法輪大法情報センター リーバイ・ブラウデ事務局長
「中国共産党は、人目を憚らずに平然と良心の囚人を刑務所に入れて弾圧を行っている。当局はオリンピックを前にして、法輪功への扱いはこうだ、誰もそれについて何もできないことを示し、注目を浴びることを承知で、大っぴらにやるだろう」
では、なぜ政治家やメディアによる法輪功に対する言及がほとんどないのでしょうか。ブラウデ氏は、それには利害関係が絡んでいる可能性があると言います。
法輪大法情報センター リーバイ・ブラウデ事務局長
「中国共産党は、政治的、経済的に多大な圧力をかけてくる。そして、自分の立場や経済的福祉の犠牲が大きすぎると感じる人たちがいるのだと思う」
ブラウデ氏は、中国共産党の影響を受けていない少数の人々は、中国で法輪功に対して行っている締め付けはジェノサイドであると、何年も前から明らかにしていると指摘しています。
オリンピックの前に逮捕されたのは、許那さんだけではありません。法輪功の情報サイト「明慧ネット」の統計によると、2022年1月、少なくとも132人の法輪功学習者が、政権によって有罪判決を受けました。
有罪判決を受けた人のうち、約20人が60歳から90歳の高齢者です。ほとんどの人が3年から4年の懲役刑を言い渡されました。