北京冬季五輪に男子フィギュアスケート米国代表として出場したネイサン・チェン選手は、女子スキーの谷愛凌選手と同様に米国移民の二世で努力家です。今回のオリンピックで二人は優れた成績をおさめましたが、中国のネット社会の反応はまったく異なっています。ウェイボーにはチェン選手を攻撃する投稿があふれていますが、チェン選手は意に介さず、「ウェイボーは使っていない」と答えています。
22歳のネイサン・チェン選手は北京冬季五輪で大いに異彩を放ち、団体戦で米国を銀メダルに導くと、次は男子シングルショートプログラムで世界記録を更新しました。最終的にはショートプログラム得点、フリースケーティング得点、総合得点の3種類で世界記録をたたき出し、初のオリンピック金メダルを手にしました。
輝かしい成績を収めたチェン選手に対し、中国から聞こえてくる声は極めて冷淡で、中共の官製メディアはチェン選手の名前に触れないうえ、SNSでは一部のネットユーザーが同選手を「裏切者」と呼んでいます。こうした反応はもう一人の米国系中国人の谷愛凌選手とは対照的です。
ネイサン・チェン選手に対する中国からの風当たりが強いのは、米中関係の緊張のほかにも、同選手が公の席で中共の人権問題に触れ中共を不快にしたことが理由だと海外では考えられています。
ネイサン・チェン選手はイェール大学の学生として昨年10月に取材を受けた際、男子フィギュアスケーターのエヴァン・ベイツ選手が中共の人権侵害を非難したことを支持すると述べました。
チェン選手は取材を受けた際、自身がインターネットで受けている攻撃について楽観的な態度を示し、自身は自分が中国系米国人であるということに誇りを持っており、中国のSNSはやっていないのでインターネットの中傷も気にならないと答え、「今後もSNSに注意を払うつもりはない。SNSは時に有害だからだ」と話しています。