現在、米国の各世帯や店舗、イベントなどで、中国製の中共ウイルスの家庭用抗原検査キットが配布されています。
検査キットを製造している中国系企業アイヘルス・ラボ(iHealth Labs)は、今年1月に米連邦政府との18億ドル相当の契約を獲得し、3億5400万回分の検査キットを供給します。
また最近では、米最大のスポーツイベントであるナショナル・フットボール・リーグ(NFL)優勝決定戦「スーパーボウル」の前夜祭イベントで、来場者に検査キットを配布しました。
アイヘルス・ラボの共同出資社は、中国北部の天津に拠点を置く医療機器メーカー・九安医療電子と、米国防総省により中共軍関連企業に指定され、投資を禁じるブラックリストに掲載されたことがあるスマートフォンメーカーの小米(シャオミ)であり、それぞれ70%と20%の株式を保有しています。
軍関連企業に指定されたシャオミは、米国防総省などを提訴した後、双方は和解し、ブラックリストから除外されました。
アイヘルス・ラボは、米市場での存在感を強めています。
2月5日から12日にかけて、ロサンゼルスのコンベンションセンターで開催された「スーパーボウル」の前夜祭イベントで、スポンサー契約の一環として、来場者に約12万個の検査キットを配布しました。
スーパーボウルの主催者側が、イベント参加の際、簡易検査による24時間以内の陰性結果の提示を義務付けているため、検査キットが配布されたとしています。
またアイヘルス・ラボは、米政府との18億ドル相当の契約を獲得し、米政府が米国民に無料配布する10億回分の検査キットのうち、3分の1以上がこの中国系企業から提供されています。
さらに、アイヘルス・ラボは、検査キット不足を解消するために現在、20の州政府と協力していると表明しています。
しかし、どの州政府と協力しているのかについては公表されていません。今のところ判明しているのは、ニューヨーク州とマサチューセッツ州のみです。両州からの受注総額は3億ドルに達するとされています。
こうした中、カンザス州上院議員のロジャー・マーシャル(Roger Marshall)氏は、この中国系企業のケースについて「米国がいかに中国製医療品に依存しているかを物語っている」と述べ、「米国は米国の製造業に投資し、自国での雇用を創出すべきだ」と指摘しています。
アイヘルス・ラボは、米市場での成功を狙い、事業拡大を本格化させています。同社は、1万5千人以上の従業員を増員し、検査キットの生産量も1日1千万個以上に拡大しました。同社によると、従業員は米政府や米企業のニーズに応えるため、24時間体制で勤務しているといいます。
これまで赤字が続いていた同社でしたが、このパンデミックにより、経営が一変しました。
昨年11月、米国食品医薬品局(FDA)から家庭用抗原検査キットの「緊急使用許可(EUA)」を得た後、同社の株価は14倍にも跳ね上がりました。
しかし、同社は中国で紆余曲折を経ているようです。中共当局は検査キットの国内販売を許可しておらず、最近では、オミクロン株の検査キットに関して不完全な報告があったとして、九安医療の幹部を召喚しました。