中共は米国人のDNAを買い占めているのか

中共はかなり以前から、米国人を含む世界中の人々からDNAを採取しています。その多くは、遺伝子データを保存している企業の買収や、DNAを採取する検査製品の提供、研究所の設立などを通じて行われています。評論家は、これらのデータが中共政権の軍事力増強計画のために使われることを懸念しています。

中共は大規模な遺伝子データの収集を行っています。バイオテクノロジー・サービスやゲノム研究という名目で、米国内でどんどん進められています。

一部の人は、これらのデータが中国共産党政権の攻撃的な軍事計画に使われる可能性があると警告しています。

米国は今、それに対抗するための動きを見せているようです。直近では、中国最大手生物製剤アウトソーシング企業であるウーシー・バイオロジクス(薬明生物技術有限公司)、Wu Xi Biologics/Cayman)に打撃を与えました。同社はワクチン原料を製造しています。

今月初めには、同社の子会社2社が米国政府による輸出許可前の確認や出荷後の検証を十分に実施することができない「未検証リスト (UVL)」に追加されました。

米商務省によると、ウーシー・バイオロジクスが米国からの輸出品を合法的かつ信頼できる方法で使用しているかどうかを確認できなかったためだとしています。

つまり、米企業はこれらの企業に商品を出荷する前に、より多くの手続きを踏まなければならなくなったということです。

では、ウーシーバイオロジクスとはどんな企業で、米国とはどのような関係があるのでしょうか。

ウーシー・バイオロジクスは2015年に中国で設立されました。ここ数年は、北米やヨーロッパで展開しており、米国にはマサチューセッツ州、ニュージャージー州、ペンシルベニア州の3か所に拠点を持っています。

さらに、デラウェア州に医薬品製造工場の建設を計画しており、このプロジェクトには、政府の助成金を通じて米国民の税金が一部使われる予定となっています。

昨年、ウーシー・バイオロジクスは杭州にある米製薬大手ファイザーの中国バイオ医薬品製造工場を買収したことによって、ファイザーのデータの一部を利用できるようになりました。そして、2015年の設立当初、同社は米DNA検査会社「23andMe」の株式を購入しました。

しかし、なぜウーシー・バイオロジクスのような企業がこれほどまでに急拡大しているのでしょうか。その答えは、簡単に言えば「北京」で、具体的には、中共の国有投資ファンドが1兆米ドル(約115兆円)を超える資金を投入しているからです。

2017年以降、「メイド・イン・チャイナ 2025」と呼ばれる中国共産党の戦略計画の一環として、この資金の多くが米国のバイオテクノロジー企業に一気に流れ込んでいます。

この計画では、バイオテクノロジー関連の事業を中共から多額の資金提供を受けることができる戦略的産業として位置づけています。その結果、中共当局はこの分野への投資に1000億ドル(約12兆円)を割り当てています。

2019年においては、中国の対米投資の半分を、健康、医薬品、バイオテクノロジー分野が占めています。そして昨年、中国の医薬品メーカーがFDAに承認申請した件数は過去最高を記録しています。

こうした拡大路線は、2016年に開始された「軍民融合」計画と呼ばれる国策によって、中共の軍事と結びついていると思われます。

この計画は、民間技術を防衛分野に適応させることを通して、中共の軍事力を高めることを目的としています。

2017年、中共は世界最大のヒトゲノム研究プロジェクトを立ち上げました。現在、その計画は、中国の国境を越えて、米国の国家安全保障を脅かす可能性があります。

中国経済学教授のアントニオ・グラセフォ博士は、エポックタイムズのインタビューで、「対米外国投資委員会(CFIUS)」が差し止めた、ある具体的な事例を挙げています。それは、中共が米兵士からDNAを採取することができるというものです。

中国経済学教授 アントニオ・グラセフォ博士
「特にこんなケースもある。6つの米軍基地から車で行ける距離に不妊治療クリニックがあった。つまり、中国共産党はこの不妊治療クリニックを自分のものにして、兵士たちが結婚して、妊娠の検査や不妊治療をするためにそこに来るということを想定していたのだ」

中国共産党の目標は、一向に衰える気配がなく、そのDNA収集活動は、今や世界中で行われています。そして、その中心となっているのが中国北京にある華大基因(BGI)です。

BGIは中共軍と密接な関係にあります。2013年には、米国市民の遺伝子情報を保有するカリフォルニア州のコンプリート・ゲノミクス(Complete Genomics)社を買収しています。

昨年、BGIが少なくとも52か国の800万人以上の妊婦の遺伝子データを採取していたことが明らかになりました。

ロイター通信によると、中共は以前から遺伝子データの収集を国家安全保障上の問題として考えていたため、2015年以降、中共は外国人研究者が中国人の遺伝子データにアクセスすることを制限しています。

これとは対照的に、米国と英国はオープンサイエンス政策の一環として、外国人研究者に遺伝子データへのアクセス権限を与えています。

〈字幕版〉

 
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