米中間の宇宙開発競争が過熱しています。上海市は国営の衛星会社と協力し、中国共産党が掲げる米国に対抗できる「宇宙強国」の実現を後押しする形となりました。地政学の専門家で、「Winning Space(ウイニング・スペース)」の著者でもあるブランドン・ヴァイヒャート氏は、もし米国が宇宙空間で優位に立てなければ、その後のほぼすべての戦争で敗戦し続けるとの認識を示しました。
2月2日、上海当局は国営の中国衛星ネットワークとの協力協定に調印しました。これは、中国共産党の宇宙への野望を後押しする形となります。
「Winning Space」著者 地政学専門 ブランドン・ヴァイヒャート氏
「これほど大きく、経済的に強力な都市は、国家的な取り組みに対し、独自の利益と利害関係を持つのは当然のことです」
この協定により、上海市はスペースX社が進める巨大通信衛星網プロジェクト「スターリンク」と同様の衛星群建設計画に寄与することになります。こうした中、ブランドン・ヴァイヒャート氏は、いくつかの潜在的な懸念を抱いています。
「Winning Space」著者 地政学専門 ブランドン・ヴァイヒャート氏
「中国はいざとなったら、予備の衛星を使って、米国やその同盟国の衛星に衝突させ、通信や監視、情報収集などを衛星に頼っている我々の軍隊を麻痺させることも考えられます」
中国国家航天局は、最近発表した白書で宇宙開発への野望の詳細を明らかにしました。その計画は5年に及び、中国共産党を「宇宙で強力な存在」にすることを目的としています。
「Winning Space」著者 地政学専門 ブランドン・ヴァイヒャート氏
「中国の科学者だけでなく、軍や政治の指導者たちも、中国のために宇宙を支配したいと考えています。習近平は、中国が世界を支配するために、あるいは2049年の中国の夢、つまり中国が世界の覇権国家となるために、宇宙を中国が支配しなければならない重要な分野の1つに位置付けています。もし、宇宙戦争に負ければ、地球上のどんな戦争にも負けることになるためです」
宇宙白書には、中共は宇宙を軍事利用するいかなる試みにも反対すると記載されています。しかし、ヴァイヒャート氏はこれは真っ赤な嘘であるとし、中共は10年近く前から宇宙兵器の開発を推進しており、特に対衛星兵器の開発を進めていると述べています。また2019年末に宇宙軍が創設されたことを例に、米国は自国の衛星を防衛するための取り組みを本格化されるのが遅かったと指摘し、中国が米国を抜いて、宇宙領域における優位性を獲得しつつあるとの認識を示しました。