ロシアのウクライナ侵攻は地政学的な問題にとどまらないかもしれません。中国問題専門家は、ロシアの行動は世界の勢力図を変える可能性があり、中共にとっては都合のいい変化かもしれないと指摘しています。米国、ロシア、中国の関係は今後どのように変わるのでしょうか。
時事評論家の唐靖遠氏は、ロシアによるウクライナ侵攻によって、米国の戦略的焦点が中国から欧州に移ったと指摘しています。
時事評論家 唐靖遠氏
「ロシアのウクライナ侵攻によって、米国とNATOは戦略的焦点を欧州に移さざるを得なくなっている。これは中国共産党への圧力を激減させ、米国の戦略的利益にもならない」
唐靖遠氏は、ロシアの侵攻は欧州にも被害を与える可能性が高いと考えています。そして、それは中共に有利になるようなことであると述べます。
時事評論家 唐靖遠氏
「欧州はロシアとの駆け引きに巻き込まれることになる。そうなると、欧州は中共の脅威に対処するためにエネルギーを割くことができなくなるし、その気力もなくなる。場合によっては、中共に妥協しなければならないかもしれない。なぜなら、ロシアからの圧力を減らすためには、そうせざるを得ないからだ」
では、米国がロシアとの軍事的対立に踏み込んだ場合、どうなるのでしょうか。
時事評論家 唐靖遠氏
「もし、本当にロシアと米国の間で武力衝突が起きたら、9.11事件と同じような影響があるだろう。米国の戦略・外交の焦点が、欧州とロシアに完全に移行することになる。そうなれば、中共が息をつく暇が出来る」
しかし、唐靖遠氏はロシアもこれを望んでいないと指摘しています。
時事評論家 唐靖遠氏
「ロシアも同じだ。実はプーチンにとって、強力な共産主義政権・中国共産党の台頭は避けたいことなのだ。隣国の中国と交渉したり、関係を維持するために妥協したりすることを望んでいないのだ」
唐靖遠氏は、プーチンは西側諸国全体がロシアではなく、中共に目を向けることを望んでいると考えています。
しかし、なぜこのような事態になったのでしょうか。唐靖遠氏は、ロシアはむしろ傍観者の立場に立ち、米中の攻防を見守りたいのだと述べています。
時事評論家 唐靖遠氏
「プーチンは、中国と米国の戦いをライオンと虎の戦いに例え、ロシアは山の上でその戦いを見ている猿だと述べたことがある。だから、プーチンは本当は関わりたくないのだ」
唐靖遠氏は、プーチンがその姿勢を変えたのは、米国とNATOの対ロシア戦略が根本的な原因で、特にバイデン政権は発足後、ロシアを主要な敵国、戦略的脅威と見なしているからだと考えています。