ウクライナへの軍事侵攻を受け、日米や欧州各国がロシアへの経済・金融制裁に乗り出す中、中国共産党政権はロシアへの非難と制裁を避けています。
現在、ロシア国営のガス最大手ガスプロム社は、中国との大規模なパイプライン契約を計画しており、ロシアへの対応において日米欧の制裁と対照的な動きを見せる形となりました。
2月28日、ウクライナ侵攻が続く中、パイプライン建設の詳細について中露両国の政府関係者が協議しました。両国が合意に達すれば、年間約1兆8000億立方フィートの天然ガスが、パイプラインを通じて中国に運ばれることになります。
パワー・ザ・フューチャー エグゼクティブ・ディレクター ダニエル・ターナー氏
「天然ガスが安定して供給されることで、中国の製造業は安定化するだろう。欧米企業にとっては、中国に製造拠点を移す魅力ができる。それにより、商品やサービスに対する、中国への依存度が高まる」
両国のこの動きは、各国のロシアへの対応とは対照的となりました。ドイツは先日、ロシアからの天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の認可手続きを停止しました。
中国にとって、ロシアは第3位のガス調達先となっており、ガス調達量全体の約5パーセントを占めています。
ライフ・パワード社 ポリシー・ディレクター ブレント・ベネット氏
「中国はすでに、ロシアのさまざまな事業体と30年間で4000億ドルの天然ガス供給契約を結んでいる。今回の契約はそれをさらに拡大した形だ。中国にとっては、自国の経済を支えるだけの十分なエネルギーがあるかどうかが問題なのだ」
ある経済学者は、中国共産党がウクライナ侵攻の中でロシアと協力する地政学的な問題についての懸念は薄く、それよりも自国の経済の方に関心を抱いているとの見解を示しました。
ライフ・パワード社 ポリシー・ディレクター ブレント・ベネット氏
「中国は、ロシアと距離を置くことや地政学的な観点をあまり気にしていないようだ。だから、彼らにとっては、今回のガス供給計画は単に経済的な決断なのだ」
パワー・ザ・フューチャー エグゼクティブ・ディレクター ダニエル・ターナー氏
「中国は、ロシアから石油やガスを安定的に供給してもらえる限り、ロシアに協力すると思う」
ダニエル・ターナー氏は、中露関係は信頼の上ではなく、収益性の上で成り立っているとし、金の切れ目が縁の切れ目であり、長続きしないだろうと述べています。