世界の偽造靴の都ー中国莆田市

中国の偽造靴市場を巡り、絶え間ない戦いが繰り広げられています。

米国移民・税関執行局(ICE)は2月初め、中国の偽物靴産業について警告するファクトシート(概況報告書)を発表しました。

その中で、2018年に連邦捜査官がナイキの偽造シューズを製造していたニューヨークの犯罪組織を摘発した事件を挙げています。当局は5人を逮捕しました。

犯罪組織はわずか2年半の間に、コンテナ40本以上、40万足近くの偽造品を輸入していました。7,000万ドル(約81億円)以上の価値があります。

連邦捜査官はニューヨークの倉庫で、それらの偽造品を見つけました。

しかし、これは今に始まったことではありません。その10年ほど前に、ニューヨーク市警は30万足近くのナイキの偽造品を押収しました。3100万ドル(約36億円)以上の市場価値がありました。

輸入書類に偽の情報が含まれていたため、スニーカーがどこから来たのかを特定するのは容易ではありません。

しかし、米国移民局の報道官は2010年に「おそらく中国の莆田(ほでん)市、もしくはその付近だ」と述べていました。

莆田市は、「世界の偽造靴の都」と呼ばれています。中でも、最もよく偽造されるものとして、ナイキ、アディダス、ジョーダン、コンバース、スケッチャーズ、アグ(UGG)、プーマなどのブランドがあります。

莆田市は中国南東部の福建省に位置し、海峡を挟んで台湾と向かい合っています。

この小さな静かな街は夜になると活気が出始め、偽造靴の箱を運ぶ宅配便で賑わいます。

宅配業者は偽造品を中間業者に届け、中間業者はそれを海外市場へ出荷します。

ある中国の推計によると、莆田市には数千の偽造シューズメーカーと1万近くの中間業者の中継地点、数十万ものオンランショップがあり、一晩の取引額は3,100万ドル(約3億5,000万円)以上に達することもあるといいます。

2010年に、ニューヨーク・タイムズの記者がディーラーを装い、莆田市のある経営者に、2千足の偽造靴の米国税関を通過させる方法を尋ねました。

その答えは、「莆田市からは出さない」「米国には通常香港経由で出荷するので、心配は要らない。いつもそうしている」ということでした。

莆田市は今や高級ブランド偽造品のシンボルとなっており、偽造靴は数十年前から作られています。今では、上手くできた偽物と本物を見分けるのも難しくなりました。

それらはスーパーコピーとして知られています。

偽造靴製造業者は多くの場合、オリジナルのメーカーの余った素材を使用します。作業員はその業界の達人であり、本物の靴の設計図を購入します。

あるいは、業界の経験者が本物の靴を購入し、それらを分解して、偽物シューズのデザインを手に入れます。

偽造品業界では、靴を購入する際に、販売者が請求書を提供することさえできるほど進んでいます。

米国税関・国境警備局(CBP)によると、2020年度に押収された偽造品の種類では、靴が3位にランクインしました。1年前より、一つ順位を上げています。

〈字幕版〉

 
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