中国の経済成長が緩やかであるにもかかわらず、3月5日、中共の全国人民代表大会(全人代)で発表された2022年予算案の数字によれば、中共は今年、国防費を7.1%増やし、総額2290億ドル(約27兆円)に達する見込みです。一方、ある専門家は、実際の数字はもっと高い可能性があると指摘しています。
2290億ドル(約27兆円)とは、米国防費のほぼ3分の1であり、台湾の9倍にあたる額です。
台湾国防安全研究院・軍事戰略所の蘇紫雲所長は、「中共にとって、軍事力の増強は最優先事項である」と述べています。
台湾国防安全研究院・軍事戦略所 蘇紫雲所長
「個人的に調べたところ、2012年に習近平が政権をとってから、中国(共)の軍事費は倍増している」
台湾国家政策研究基金会の専門家である李正修氏は、中共政権の実質的な国防予算は公式発表より高い可能性があると指摘しています。
台湾国家政策研究基金会の軍事専門家 李正修氏
「中国(共)の予算、特に国防予算は決して透明ではない。予算はさまざまな分野に分散している。例えば、ある大学の科学研究開発予算の一部が、実は軍事装備に使われていたりする。だから、多くの人が、実際の金額は公式発表よりもずっと多いのではないかと考えている」
中共政権は300万人の世界最大の常備軍を有しているのに対して、米国は140万人の現役軍しかいません。しかし、中共政権は他の分野ではまだ遅れをとっています。例えば、米国は空母を11隻保有しているのに対し、中共の現役空母は2隻しかありません。さらに、米国は世界最先端の軍事機器とテクノロジーを保有しています。
台湾の国立中山大学の安全保障専門家である郭育仁氏は、米中の技術競争が激化するにつれ、中共政権は研究開発により多くの費用をかけざるを得なくなると述べています。
中共当局の今年の国防費は、国際社会のより厳しい監視下に置かれています。ロシアのウクライナ侵攻は、ある憶測を呼んでいます。それは、中共が米国とその同盟国からの解決策がないことを察知すれば、台湾の占領を試みる可能性が高まるのではないかということです。