米司法省は3月30日、中国共産党の「キツネ狩り作戦」と呼ばれる弾圧政策に関与していた中国国籍の孫海英(Sun Hai Ying、そん・かいえい)被告を起訴したと発表しました。
孫被告は、2017年2月から2022年2月にかけて、米国内の少なくとも35人から個人情報を収集し、収集した情報を中共当局に提供していたとされています。裁判資料によると、孫被告の対象となった被害者の多くは、米国での滞在歴が長い中国系米国人でした。
孫被告は、民間の調査会社やニューヨークの警察官との共謀により、スパイ活動を行ったとされています。孫被告は複数の私立探偵を雇用し、ニューヨーク在住の中国人男性を監視していましたが、中国に旅行中の彼の娘を人質にして、彼を帰国するよう脅迫しました。当時妊娠中だった男性の娘は、8か月間中国からの出国を禁じられ、中共当局関係者からは米国政府に助けを求めないよう告げられたといいます。
ニューヨーク検察は、孫被告の活動は2014年に始まった中共の「キツネ狩り作戦」の一環で、中国の反体制派や亡命者を強制的に中国本土に送還、もしくは金銭的な和解金を支払うよう強要するものだと指摘しています。
孫被告は現在中国におり、米当局から指名手配されています。
マシュー・オルセン司法次官補は、声明で「この事件は、中国が法の遵守を軽視し、我が国で標的とする人々を強制し、脅迫するものである」と述べました。
また、3月初め、司法省は3つの事件で、中共の影響力を米国国内まで拡大させたとして、5人の男を起訴したと発表しています。
この起訴は、バイデン政権が中共の米国におけるスパイ活動を阻止するために考案された、トランプ時代の反スパイ政策である「中国イニシアチブ」の終了を決定した直後のことでした。