江蘇省昆山市(こんざん-し)は4月2日から感染症対策を強化し、ほぼ都市封鎖状態となりました。昆山は電子部品OEM生産のメッカで、台湾企業のAUO(友達)やコンパル・エレクトロニクスといった電子部品メーカー大手が軒を連ねています。昆山の都市封鎖によって、テレビやスマートフォンをはじめとする電子製品の生産にも影響が出ると見られています。
江蘇省昆山市民
「昆山の都市封鎖によって高速道路は車両で塞がれている。さっき警察車両が来て『Uターンしろ。ここで待っても出られない』と言っていた。だがどこにUターンしろと言うのか?」
中国大陸で感染症が拡大したことで台湾企業が軒を連ねる昆山でも感染症対策が突如強化され、4月2日から6日の間、企業は輪番休業と在宅勤務を要求されたほか、市外との交通も規制されて、事実上の都市封鎖となりました。南亜、台光電子材料、欣興などの台湾企業はすでに当局の方針に従って、操業を一時的に停止、または閉鎖管理をすると発表しています。
江蘇省昆山市民
「車は一台も走っていない。人もいない。今日PCR検査をしたところで外出は禁止されている」
昆山はパネルやPCB、電子部品のOEM生産、ノートパソコン部品の一大生産地で、パネル大手のAUOや電子部品大手のコンパル・エレクトロニクス(仁寶)、ペガトロン(和碩聯合技術)、ウィストロン(緯創資通)といった台湾EMS(電子機器受注製造サービス)はすべて昆山市に工場を構えています。
ペガトロン昆山工場はiPhone生産にも関わっているほか、他の電子製品の受注生産も行っています。AUOは、現地当局による都市封鎖と交通規制を注視しているが、現時点では短期的には影響を受けないだろうと判断しています。ウィストロン昆山工場は、主にIoT(アイオーティー)と中小サイズのモジュール製品を生産しており、売り上げ全体に占める割合は大きくはないため、やはり影響は軽微だとの見解を示しています。
コンパル・エレクトロニクス昆山工場は主にノートパソコンのOEM生産を行っており、物流が止まると製品の出荷が影響を受けるため、重慶工場に増産を要請する方針だと発表しています。
業界関係者は、昆山は電子部品企業の集まる重要都市であり、今回の都市封鎖が世界の電子産業に与える影響は、上海の都市封鎖を上回るのではないかと憂慮しています。