上海の乳幼児隔離スポット 人手不足で子供を放置 

上海の「乳幼児隔離スポット」で大勢の乳幼児が両親と引き離されて隔離され、しかも面倒を見てもらえず放置されている動画がインターネットに流出し、多くの人が心を痛めています。ある親は上海市政府に対し、隔離スポットの状況をすべて公開し、できるだけ早く子供を自分の元に返してほしいと訴えています。

4月1日夜、中国のSNSに上海金山区の「乳幼児隔離スポット」を撮影した動画が流出しました。この動画には、たくさんの乳幼児が大きなホールに放置されており、一つのベッドに3人もの乳幼児が入れられている様子も見られました。

大人が付き添っているベッドはわずかで、子供たちの面倒を見る人はいません。

この隔離スポットに子供を連れて入ったある母親は、ウェイボーのグループチャットに「隔離スポットの幼児はようやく2歳になったくらいの子供や、中には生後58日の赤ちゃんもいた。上の階だけでも200人の子供がいるが、看護師は10人しかいないし、衛生状態もよくない」と投稿しています。

4月2日午前に上海市は感染症対策に関する記者会見を行いました。

上海市民政局 曾群副局長
「感染拡大による子供の臨時看護問題が、胸が締め付けられるような問題であることは確かだ」

この記者会見では、この動画について直接的に触れてはいませんが、動画の信憑性も否定しませんでした。

一方で金山区の上海市公共衛生臨床センターはその後、「インターネットに流出している画像や動画は、当院の小児科病棟が内部で部屋替えを行っていたときに撮影したもので、金山乳幼児隔離スポットのものではない」と発表しています。

しかし、中国のネットユーザーはこの話を信じていません。

上海市民の趙さんは、自分と2歳の娘が3月26日に陽性と診断されましたが、娘は29日に上海市公共衛生臨床センターに連れて行かれたと話しています。

上海市民の趙さん
「私はインターネットでこの画像と動画を見つけたとき、気が狂いそうになった。その前には、みんな私を心配させないよう『金山のこの病院は上海で一番子供をよく看てくれるところだ』と言葉をかけてくれていた。(泣き声)この写真を見て平気でいられる人がいるのかと私は聞きたい。2歳の子供が目を開けても親はいなくて誰にも面倒を見てもらえないのだ。あそこでは風呂にも入れてもらえず4日が経ったと聞いた。私の娘はまだおむつが取れていないのに、誰が汚れた体を拭いてくれているのか。こんなにたくさんの子供がいて人手が足りないのに、私の子供を連れ去って、母親の私の手に子供を渡さない。市政府が何を考えているのか私には分からない」

新唐人テレビは上海市公共衛生臨床センターに電話をかけて、隔離中の子供の人数を質問しました。

上海市公共衛生臨床センターの職員
「申し訳ありませんが、こちらに問い合わせ窓口はありません」

そこで、動画の中では大勢の子供が一か所に集められているが、交差感染の心配はないのかと質問しました。

上海市公共衛生臨床センターの職員
「だから、衛生健康委員会や疾病管理センターに問い合わせてくださいと言っているのです」

記者はその後、上海市の衛生健康委員会と疾病管理センターに電話を掛けましたが、誰も出ませんでした。

中国のある人権派弁護士は、特殊な状況を除き、乳幼児を強制的に両親から引き離す行為には何の法的根拠もなく、違法行為だと指摘しています。

 
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