上海の混乱は上層部内部闘争に関連 中共軍が上海に駐留

都市封鎖開始から2週間以上過ぎた上海の街に、民衆の怨嗟の声があふれています。情報によると、中共上層部は感染症対策に対して意見が分かれており、多くの官僚がいわゆる「ねそべり」方式で習近平政権の「動的ゼロリセット」政策の足を引っ張ろうとしていることがうかがえます。これに対し習近平総書記は上海に軍を派遣しながら、官製メディアを通して上海の官僚にメッセージを発信しています。

中共官製メディアの人民日報は、「感染症対策の緊迫に伴い、『ねそべり』意識を放棄する必要がある」とする記事を掲載し、官製メディアの北京青年報は、「中央政府は上海に対し、断固とした決断を堅持するよう求めている!各級指導者には二度と先延ばしや回避といった手段を講じる理由はない」と論じる、より強い内容の記事を掲載しました。これは、上海の各級指導者層が現在、感染症対策に対し「ねそべり」や「先延ばし」「回避」といった手段を講じていることを示しています。

時事評論家の章天亮氏は、中共が内部伝達による指令ではなく、内部の矛盾を公開するという手段によって特定の対象にメッセージを投げかける場合、指導者層が各級高官をコントロールできず打つ手がないという状況にあることを示していると考えています。

中共は官製メディアを通じた呼びかけを行うと同時に、見せしめによる警告も行っています。防疫対策が不十分であるとして4月8日、上海浦東新区の処級幹部3人を罷免しました。

上海市の都市封鎖は、開始からすでに2週間以上過ぎ、インターネットには上海市政府の不作為や、政府部門の勝手な振舞いや、市民生活の軽視、管理上の混乱といった状況に対する市民の恨みの声が投稿されています。上海では生活物資の不足や価格の高騰も起きています。

フードデリバリーの配達員
「不満を言わせてもらうと、今多い注文はタバコだ。上海のタバコの値段を知っているか。大前門は9元だったのが、今では260元だ。11元だった紅双喜は今300元になっている」

上海市民 岳さん
「物価が高いのは問題の一つだが、ものが手に入るのなら値段は気にしない。今はものを買うというより、争奪戦でものを手に入れることができるかどうかだ。だが争奪戦に勝てない。4月1日から(封鎖が)始まって、今日は14日だ。食べ物をそんなにたくさん備蓄している家はあるのだろうか」

中共軍報は4月3日、当局は上海を支援するため軍人2000人余りを現地に派遣したと報じました。

上海世博展覧館仮設病院のスタッフ
「解放軍の大部隊が来た。全部軍用車だ。見て見ろ。解放軍の軍用車があんなにたくさん来ている」

官製メディアの中央電視台は4月7日、Y-20輸送機が何度も上海に降り立ち、感染症対策を支援していると報じました。

一方で中国問題専門家の横河(おうが)氏は、当局の今回の対応は表面的には感染症対策支援だが、実質的には上海の(実権の)引き継ぎに姿を変えており、上海の感染症対策はすでに一つの政治闘争もしくは路線闘争に転じていると述べています。

横河氏は、「反習近平を掲げる江沢民派が、上海を手中に収めてかなりの年月が経っている。習近平はこれまでに反腐敗運動を利用して大量の江沢民派幹部を粛正したが、上海の官界にはずっと手を出していなかった」と指摘しています。

横河氏は、今回の件は習近平が上海の江沢民派勢力を一掃する機会と考えられると述べ、習近平がゼロリセット対策を大々的に行うその背後には中共上層部の内部闘争が存在していると指摘しています。

 
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